⼥⼦サッカー界も地域も、まるごと盛り上げたい!
『FCふじざくら⼭梨』を多⽅⾯から⽀える森みのりさん
アスリートが引退後に歩む道は千差万別ですが、現役時代に積み上げた価値を次のキャリアで⽣かすのは簡単なことではありません。南都留郡鳴沢村に本拠地を置く⼥⼦サッカーチーム『FCふじざくら⼭梨』は、“競技でも⼀流、社会でも⼀流であれ”というコンセプトのもと、セカンドキャリア問題に対して果敢に取り組んでいます。まるサテの⼀⼤拠点である『ドットワークPlus』には、クラブのサテライトオフィスも!そこで今回、FCふじざくら⼭梨のPR兼MD(マーチャンダイザー)として奮闘されている森みのりさんにインタビュー。森さんは、幼少期からのサッカー経験や、管理栄養⼠として働いていた経歴があり、様々な視点から選⼿や地域の⼈々と関わっています。移住・転職してわずか数ヶ⽉でありながら、チームに新しい⾵を吹かせる森さんのバイタリティに注⽬です。
森さんが『FCふじざくら⼭梨』に出会うまで
本⽇はよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします。
森さんのこれまでの経歴を教えてください
出⾝は⽇本海がすぐ近くにある⼭形県酒⽥市で、⼩学⽣の頃からサッカーが⼤好きな⼦どもでした。中学を卒業後、さらにサッカーに打ち込むために宮城の⾼校に進学し、寮⽣活を送りました。あるとき、サッカー部に⾷品会社の栄養⼠さんがセミナーにきてくださったことがあって。そのセミナーで学んだ⾷事を実践してみたら、体調やパフォーマンスに変化を感じられて驚きましたね。その体験がきっかけで「栄養学を勉強してサッカーに⽣かしたい」と神奈川の⼤学に進学し、管理栄養⼠の資格を取りました。
⼤学卒業後は、様々な施設に⾷事を提供する給⾷受託会社に就職しました。その会社は、病院や社員⾷堂、学⾷への⾷事提供がメインですが、私はスポーツやイベントの部署に配属され、横浜スタジアムで野球選⼿に⾷事を提供する仕事に携わっていました。東京オリンピックの際は、横浜スタジアムが野球とソフトボールの試合会場にもなっていたので、各国の選⼿にも⾷事を提供しましたね。栄養指導というより、調理の仕事がメインでした。
ずっと叶えたかった“管理栄養⼠の知識を⽣かしながらスポーツに関わる”ことはできていたのですが、シーズン中の業務はなかなかハードなもので…。体⼒的にはなんとかなっていたものの、いろいろな出来事が重なってしまい、3年⽬のシーズン中盤に体調を崩しました。そのとき数⽇間仕事から離れたのですが、そのおかげで初めて⾃分を⾒つめ直すことができました。「思い描いた通りのことが実現しているのに、なぜか楽しくない」「やっぱり私はサッカーに関わっていたいんだ」と、やっと本当の気持ちに気づくことができましたね。
そういえば、サッカー部を引退した⾼校3年のときも、帯状疱疹が出たんです。⽣活の⼀部になっていたサッカーを全くしなくなって、⽬標を⾒失ってしまって。知らず知らずのうちに⼤きなストレスになっていたみたいです。私は動いていないとダメなんだ、サッカーがないとダメなんだって、そのときも思いましたね。
それがきっかけで転職を決意されたのですね
はい。それと、もうひとつ転職を決めた理由があって。私の仲間では、社会⼈になってからもサッカーを続けている⼈がいるのですが、みんな20代半ばになって、熱意や勢いが減っていって…。それがずっと気がかりでした。もっとイキイキとサッカーを続けていくために、スポーツ栄養の⾯から何かできることがあるんじゃないか、と。そのために「まずは現状を知ろう、サッカー界に⾜を踏み⼊れてみよう」って率直に思ったんです。
それに、⼥⼦サッカー界を盛り上げたいという気持ちも⼤きくて。『なでしこジャパン』が世界⼀になったときは、⽇本中がものすごく盛り上がっていましたよね。あれから10年以上が経って、注⽬度が下がってしまっていることが悲しくて。⼥⼦ワールドカップもまもなく開幕されるというのに、あまり知られていないのが現状です。⾃分が⻘春を捧げてきたスポーツなので、どうにか盛り上げていきたいという気持ちをずっと持っています。
転職と移住。新しい環境に⾝を置いて
FCふじざくら⼭梨での森さんの仕事内容を教えてください
私はPRとMDを兼任しています。PRは、SNSで試合やイベントのお知らせをしたり、選⼿への試合後インタビューを配信するなど、チームで起こっていることを外へ発信するのが主な役割です。試合速報は、「点が⼊った」「失点した」「選⼿が交代した」など、サポーターの皆さんがその場で試合を⾒ていることを感じられるような情報をその都度リアルタイムでTwitterに配信しています。あとは、地域との繋がりを⼤切にしているクラブなので、ピッチ外でのイベントや活動も盛んです。それらを写真や動画で記録して、こまめに発信しています。
MDの仕事は、オリジナルグッズを考案したり、ホームゲームの際に⾏うイベント内容を考えるなど、“お客さんに喜んでもらえること”を企画するのが中⼼ですね。イベントの例を挙げると、つい先⽇はスタジアムで『沖縄ハイサイフェア』を開催しました。沖縄から⾷べ物やお⼟産などを仕⼊れて、ちょっとしたミニ国際通りをつくり、⼭梨にいながら沖縄の⾷や⽂化を楽しんでもらおうという企画です。あとは、エスコートキッズならぬ“エスコートシニア”という取り組みもあります。選⼿たちが、地域のおじいちゃんおばあちゃんと⼿を繋いで⼊場するというものです。それから、スタジアムに⾺が来てくれたこともあります。⾺に餌をあげたり触れ合ったりできるイベントですね。これは、⾺を通した活動をされている富⼠吉⽥市の『⾺⼒屋』さんとのコラボレーション。ホームタウンである富⼠吉⽥市、富⼠河⼝湖町、鳴沢村の企業とは、これまでも沢⼭コラボさせてもらっています。
コワーキングスペース『ドットワークPlus』は、どんなときに利⽤するのでしょうか?
それこそ、グッズのアイデアを練ったり、イベントの内容を考えるときなどに利⽤しますね。煮詰まったときに場所を変えながら仕事できるのはありがたいです。ドットワークPlusは、私だけでなく選⼿たちも利⽤しています。アスリートフードマイスターの資格を持つ選⼿は、作った料理をSNSで発信したり、デザインが好きな選⼿は、Illustrator(デザインソフト)を使ってチームのグッズをデザインをするなど、サッカー以外のことにもそれぞれ取り組んでいて。アスリートと社会⼈、どちらのキャリアも積み上げる“プレイングワーカー”を体現するのが私たちクラブの理念なので、GM(ゼネラルマネージャー)の五⼗嵐も、サテライトオフィスを活⽤した働き⽅を推奨してくれています。
(五⼗嵐さんのインタビューはこちら▶ https://0555plus.work/Interview/plus_interview_1/)
ドットワークPlusには、それぞれの⽬的で活動されている個性豊かな⽅が集まってきていますよね。サッカー以外のところで別の分野の⽅と関わりを持てたら、さらに⾃分の幅を広げていける。そういった⾯でも、これからも積極的に活⽤していきたいです。
選⼿たちが⽇常的に地域に溶け込んでいるのですね
そうですね。私たちのクラブは、オフザピッチ(サッカー以外の活動)で“部活”のような活動もしていて。農家さんと野菜を育てる農業部、⼦どもたちにサッカーやかけっこを教えるイベント企画部、地元の美味しいお店を紹介するグルメ隊などを結成して、選⼿が主体となって地域と関わりを持っています。地元のスーパー『セルバ・おかじま』と共同プロジェクトで作っている“コラボ弁当”も、オフザピッチ活動の⼀貫です。選⼿が考案するお弁当は毎回反響をいただいています。地域の⼀員として課題に向き合い、皆さんと触れ合う。そうすることで地域の活性化に繋がりますし、その中で応援してくれる⽅がひとりでも増えたらいいなと思っています。
移住してみてすぐに感じたのは、とにかくこの地域は温かい⼈ばかり。県外から新しく⼊ってきた私にも、家族のように接してくださる⽅も多くて、アットホームでいいなって。これまでこのクラブがいかに地域と関わりあってきたのか、よくわかりました。スタッフや選⼿と飲⾷店に⾏った際も、店員さんが「いつものね!」と注⽂するものを覚えてくれていたり、店内にポスターを貼ってくれていたり。地域全体でクラブを盛り上げよう、応援しよう、という空気を感じ、温かい気持ちになります。
個⼈で、チームで!この先叶えたいこと
管理栄養⼠としての活動があれば教えてください
私たちのクラブには、⼩学⽣から社会⼈までの幅広い世代が通うアカデミー(サッカースクール)があります。先⽇、アカデミーの⼩・中学⽣に向けたセミナーを管理栄養⼠として⾏いました。思春期になると、⾒た⽬を気にして⾷事を減らしたりする⼦もいますよね。ですが、この時期の⾷事は成⻑にも関わってくるので、特に気をつけなければなりません。なので「まずはしっかりバランスよく⾷べることを⼼がけましょう」と伝えました。その上で、試合前後におすすめの⾷事や、移動中に⾷べられる補⾷を提案しました。真剣にメモをとりながら聞いてくれていて、嬉しかったですね。
今後も⾊々なテーマに沿ったセミナーを継続的にやっていきたいですし、それがアカデミーの特⾊のひとつになればいいなと思っています。⾷事によって⾃分⾃⾝が実感した変化を、選⼿やアカデミー⽣にも感じてほしい。そのためにも、さらに学びを深め、経験を積んでいきたいです。
チームとしてはどんな展望がありますか?
⽇頃から地域の⽅々に⽀えられてサッカーができているので、私たちも皆さんの助けになれたらいいなと思っています。サッカーをきっかけに⼈との関わりが増えたり、⽣活を豊かにしてもらえたら。そして、嬉しいこと、楽しいことをもっと共有していける存在になりたいです。普段は和気あいあいとした雰囲気でとても仲の良い選⼿たちですが、ピッチの上では⾔いたいことを⾔い合っていますよ。これからも、オン・オフ切り替えながらWEリーグ(トップリーグ)を⽬指していきます。
森みのりさんからのメッセージ
富⼠吉⽥は、美しい⾃然も⼈の温かさも感じられる場所です。⾯⽩い店、グルメ、⼈に出会え、刺激をたくさん受けられるので、ぜひその魅⼒を体感していただきたいです。クラブとしては、地域の⽅の楽しみのきっかけになるような存在になりたいですね。「今度ふじざくらの試合があるからそこで会おう」とか、⼦ども向けのイベントを通して親御さんにも楽しんでもらえたりとか。どんな形でもいいので、どんどん私たちのクラブを使ってほしいと思っています。この地域やチームの活動に興味を持ってくれた⽅、「こんなことをやりませんか」という⽅がいれば、ぜひ⼀緒に楽しみましょう。
FCふじざくら⼭梨
https://www.fujizakura-sc.jp
◯ 「富⼠吉⽥市まるごとサテライトオフィス」とは
「富⼠吉⽥市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は⼭梨県富⼠吉⽥市全体を使って、様々な事業者が富⼠吉⽥市内に⾃分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を⼿軽に持つことができる取り組みです。
(詳細: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html )
◯ 富⼠吉⽥市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる⽅を募集しております。
「地域活性や街づくりに興味がある!」
「今こんな活動をして街を盛り上げている」
「頑張っている⼈がいるので記事で紹介してほしい」
「⾯⽩い構想があるのでこんな⽅と繋がりたい」などなど。
ひとつでも当てはまったら是⾮ドットワークPlusにいらしてください!
写真・記事執筆/⾼井まつり(KINONE)