大学生の力で地域活性化!富士吉田地域おこし協力隊の『小野寺穂高』さん

風に揺れる美しい織物と軽快な音楽。富士吉田市のランドマークであるQ-STA屋上で、同市をフィールドにする大学の学生たちがその魅力を伝え、体験できる学Qフェスが2022の夏に開催されました。これまで交流があまりなかった大学生同士や地域を結ぶ、地域初となるその試みを成功させたのが、今回のインタビュイーである小野寺穂高(おのでらほだか)さんです。今回のインタビューでは、現役大学生ながら地域おこし協力隊としても活躍する小野寺さんに、富士吉田市に繋がれた経緯や活動の内容、まるサテが進んだ富士吉田市の未来像などについても答えてくれました!

 

小野寺穂高さんと富士吉田市とのご縁や現在の活動に至るまで

慶應義塾大学SFCの4年生で富士吉田市の地域おこし協力隊である小野寺穂高さん
本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくおねがいします。

 

小野寺さんのこれまでのご経歴を教えてもらえますか

自分の生まれは岩手県の盛岡市ですが、小学1年生までは父の仕事の都合で宮城県の仙台で過ごしました。その後、盛岡市に戻り、大学進学と共に神奈川県に引っ越しました。スポーツはずっと野球をやってきて、大学でも野球とアメフトのサークルに所属しています。今は4年生ですが、2年生の頃に友達と面白いことがしたいね、という話から離島でボランティアをやろうと思っていたのですが、コロナが流行り始め、残念ながら断念することに。そこからしばらくはコロナで燻っていたものの、同じ年の後半くらいに、新潟県の三条市にいる地域おこし協力隊の方が“スポーツによる町おこし”の協力者を募っていることを大学の授業で知り、友達と手を上げました。プロジェクトは2年生の後半から3年生の後半までの1年間です。

 

同市を本拠地とする3×3プロバスケットボールチームの三条ビーターズと拓殖大学、そして自分が所属する慶應義塾大学 SFCが連携して、e-sportsの大会を企画することになりましたが、プロジェクト期間を過ぎた後も継続して大会が開かれているのは嬉しいです。プロジェクトの途中で大学からの予算が年度変わりによってでなくなってしまい、自分達で研究助成金を取りにいったのも今では良い思い出です。

 

三条市での経験で地域活性化のやりがいや楽しさを感じた後、フィールドワークを含む授業の一環として、富士吉田市に来る機会がありました。自分のインスピレーションがどこに動くのかを発見して、その日常の風景の中にどんな動詞が隠れているのか。また、そこから見える人との交流を考えながら、道具を作り出すというのが授業のテーマです。その時は、富士吉田市の名前も知らず、富士急ハイランドにも来たこともがないような状態でしたが、来てみると富士山の絶景が綺麗で印象的な街でした。当時は授業以外で訪れると思いませんでしたが、そこから色々なコミュニティの人にサポートしてもらい、今では地域おこし協力隊としても活動しています。

 

地域おこし協力隊の活動やドットワークPlusでの活動『Fuji co-labo』ついて

地域おこし協力隊に任命された時の小野寺さん
どのような流れで地域おこし協力隊になったのですか?

これもご縁なのですが、お声をかけていただきました。富士吉田市と大学が連携していこうという文脈の中で、4年生の間の1年間ですが、地域に飛び込んで活動できる貴重な機会だったので、挑戦することに。それまでは地域おこし協力隊という制度も知らなかったのですが、色々な方が助けてくれ、地元のコミュニティも暖かく迎えてくれました。活動のテーマは、大学間連携とその実践活動です。

 

あまり地元の人は意識していないかもしれませんが、富士吉田市は多くの大学が研究や活動のフィールドにしている地域です。山梨大学や山梨学院大学、昭和大学の他にも、東京大学や東京理科大学、都留文科大学や慶應義塾大学など、地方の中小都市では珍しいくらい多くの大学が関係しています。一方で、富士吉田市内ではあまり大学生を見かけません。自分も富士吉田市に来た頃は、同じ年代の人があまりにも少なくて驚きました。そしてそれらの大学の学生も、同じ地域でお互いが活動していることをあまり知らないことに気づきました。

 

近くで活動していてもなかなか気づかないものなんですね。

そこで、富士吉田市をフィールドにするさまざまな大学の学生が、お互いを知り、そのエネルギーを街に還元できないかという観点で、イベントを開催することにしました。2022年の夏には富士山駅のQ-STAの屋上で行った学Qフェスというイベントで、地域の人も気軽に来てもらえる交流の場を作りました。カフェを経営している都留文科大学の学生さんたちに軽食を作ってもらい、音楽が流れるゆるい雰囲気でお互いの活動や研究を話すというものです。

 

六大学が参加しましたが、早速成果も見えました。例えば東京大学と東京理科大学の活動の中には結構重なるところもあって協力できそうなところが見えたりとか、山梨学院大学の生徒が研究しているB反の織物を東京理科大学の学生さんが建築材料として使えるかもしれないというアイディアが出たりといった具合です。また、訪れた地域の人たちに自分達の街がどのように大学生に映っていて、彼らがどんな活動をしているのか、というのを可視化して紹介できたことも大きな成果だと思っています。

 

今は、第二弾に向けていろいろと連携して取り組みを進めています。富士吉田市は暖かくて面白いコミュニティがたくさんあるので、そういったところと色々な大学生がもっと繋がったら、より面白いことが起こるんじゃないかと思っています。

2022年の夏にQ-STAの屋上で行われた学Qフェスには富士吉田市に関係する6大学が参加

それぞれ別に活動はできるけど、そこが連携すればまた新しいものが生まれそうですね

大学生同士がお互いを知らないように、富士吉田市内でもコミュニティ同士が繋がっていないことが結構あります。お互い仲が悪いわけではないんだけど、一緒にやっているわけでもないみたいな。そこでどうしても情報格差が出てしまったり、入りたくても入り方がわからないという場面を目にすることがあったので、もっとコミュニティや人同士が距離を詰めやすいように、匿名性は保ちながら自分のやりたいことを提案できる仕組みとして『Fuji co-labo』も立ち上げました。Discordというアプリでのやりとりがメインですが、11月に下吉田で開店した『fab cafe』へ、みんなでモーニングを食べにいき、これまでなかったような出会いや交流が生まれました。今後も色々なアイディアがメンバーから出てくると思うので、それに多くの人が手をあげたり、新しいメンバーが増えていったらなぁと思っています。

 

富士吉田市がもし、まるごとサテライトオフィスになったらこんなことが起こる!と期待していること

ドットワークPlusで作業する小野寺さん

 

富士吉田市がまるごとサテライトオフィスになったらどんなことが起こると思いますか?

これは他の地域にも言えることですが、いくら景色が素晴らしいといっても、単純にリモートワークだけで見れば、富士吉田市にワーケーションで人が来続けるというのはわからないところもあると思います。富士山は素晴らしいですが、都内や他県にもそういったところは少なくありません。でも、自分は富士吉田市の良さにコミュニティの暖かさや居心地の良さを強く感じました。

 

その先に地域の人々と触れ合うことができるという選択肢を考えれば、富士吉田市はワーケーションタウンとして、とても良い場所だと思います。なので、都会に住んでいて、もう少し人と触れ合いたいという人にとって、もう少し人とのつながりが欲しいから富士吉田市でも働きたくなるという選択肢を、この街なら用意できると思います。

 

そしていずれは、会社というような組織でなく、富士吉田市に集まったコミュニティの中で、所属に関係なくプロジェクトチームで面白いことに挑戦しようという気風ができてくれば、それを魅力に感じた新たな人々が流入して、地域全体が活性化していくように思います。

 

小野寺さんからの読者へのメッセージ

自分もある意味では知り合いゼロの状態で来た富士吉田市ですが、いろいろなコミュニティがあって、多くの人がそこに入り込むのを支えてくれました。なので、この街を訪れてみたい、この街でもっと色々な人と繋がりたいと思っている人は、恐れずにぜひ挑戦して欲しいです。そして、『Fuji co-labo』にしてもそうですが、新しい地域おこしの形を模索できたら良いと思っているので、ぜひ一緒にできたら嬉しいです。

 

◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは

「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。

(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html

 

◯富士吉田市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる方を募集しております。

 

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

 

ひとつでも当てはまったら是非ドットワークPlusにいらしてください!

  

 

記事執筆/宮下 高明