昼はフロント、夜は和太鼓!人を楽しませるのが大好きな老舗ホテルの受付嬢

今回のインタビューに答えてくださった地元老舗ホテルでレセプションをしている橋本あゆみさん

コロナ禍の前には年間400万人もの観光客が訪れていた山梨県でも屈指の観光地である富士吉田市。富士山の絶景とその周辺の自然・文化的な資源や観光施設は、地域の収入源として非常に重要であり、訪れた旅行客を癒やす宿泊施設もなくてはならない存在です。今回は、その宿泊施設ひとつである富士吉田市の老舗ホテルでフロントを勤める橋本あゆみさんにインタビュー。ご自身の仕事に対する想いや仕事以外でも頑張っていること、富士吉田市に抱くイメージなどをお聞きしました!

▼橋本あゆみさんと富士吉田市が繋がるまで

今回のインタビューに答えてくださった橋本あゆみさん
本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくおねがいします。

さっそくですが橋本さんが富士吉田に来られた経緯を教えてください

私はもともと群馬県の出身で、山梨県に来る前は保育士になるつもりでした。でも、入学しようと思っていた短大が潰れちゃって、それと同時に保育士の夢も諦めちゃったんですよ。そんな時、旅行会社をやっている父もよく利用していた富士吉田市の老舗ホテルの方に父が声をかけてくれ「娘は太鼓をやっているから働かせてやってください」と頼んでくれたようです。そのホテルは宴会の催しとして太鼓に力を入れていたので、すぐに面接から採用までトントン拍子に話が進みました。

高校を卒業してから初めての就職先だったので、大人とそこまで多く接したこともないのに、ホテルだなんてマナーと気遣いの最前線で…。言葉遣いとかも全然今までやってこなかったので、もうどう言えばいいかわからないですし、初めの頃は会社に行くのが怖いくらいでした。特に配属されたところが仲居さんだったので、教わったこと以上に臨機応変に対応するのが難しくて。それでもやってこられたのは、周りの人たちの支えがあったおかげだと思います。

最初に太鼓の話がありましたが、仲居さんをやりながら太鼓も披露もされていた?

そうなんです。仲居さんをやりながらの太鼓だったんですが、ちょうど仲居さんのお仕事がお休みの日に太鼓をやるという、一週間で休みが全然ない状態になってしまいました。会社もそれはまずいということから配置換えしてくれて、今はフロントとしてホテルの中で一番最初にお客様と接する仕事をさせていただいています。私が勤めているホテルの売りが霊峰太鼓というもので、毎晩8:30からお客様に披露しているんですよ。15人制の入れ替わり立ち替わりで、曜日ごとに打つ人が決まっているという感じで、私は水・木・土の週3回お客様の前で打っています。

配置換えされたことで太鼓はできるようになったんですけど、フロントへの異動が決まった時にはまだ入社して10ヶ月、20歳にもなっていませんでした。ホテルのことでわからないこともたくさんあるのに、ホテルの顔として臨機応変に、正確な対応が求められる現場に配属だなんてすごく不安でした。覚えることがあまりにも多すぎて、正直会社を辞めたいと思った時期もあります。でも、「せっかく老舗高級ホテルのスタッフに、しかも責任重大なフロントになったんだからプラスに考えよう!」と心を入れ替えてからは辛い気持ちが前向きになっていきました。そうなってからは仕事を覚えるのがすごく楽しくて。今では”お客様の命を預かっている”という自覚と責任感を持ってお仕事をしています。

お仕事同様に太鼓も力を入れられているようですね

私は高校の3年間、部活で太鼓をしていました。本格的なところで、はじめた頃は本当にキツかったです。それでも、お祭りや老人ホームとかで叩いているうちに、地域の人や利用者さんがすごく喜んでくれるのを見て、もっと聞かせたいという気持ちになっていきました。特に老人ホームのおばあちゃんたちが泣いて喜んでくれて「凄かったよー!」って褒めてもらえた時は感動しました。音楽ひとつで全然関わりのなかった人が繋がっていく、この感覚がすごい良かったなと思って。太鼓ひとつでこんなに笑顔になるし、感動してくれるし、こんなすごい楽器はないなっていう体験から、社会人になっても続けたいという気持ちになりました。

今やっている会社の太鼓のメンバーは私以外全員男性です。楽しいのは本当なんですがやっぱり体力的にキツイのも嘘ではないです。叩くバチも女性だからと言って軽い訳ではないですし、叩く力だって男性と同じですからね。それに仕事の後の太鼓の時間は、お客様に太鼓を披露するための合わせと本番の時間で、合同練習として決まった時間が取られているわけではないんですよ。だから、それ以外のところで時間を作って練習していかなきゃいけない大変さもあります。だからと言ってお客様に見せるものだから”忙しくて練習できませんでした”という言い訳はできません。ホテルの仕事の空き時間や太鼓を披露する時間の前などで集中してこっそり練習するなど時間をやりくりしています。それだけ頑張っていられるのも太鼓をお客様が喜んでくれることに尽きますね。

▼大忙しの橋本さんが今、仕事と太鼓以外にも取り組みたいこと

和太鼓を演奏する橋本さん。演奏後にお客さんから声をかけられるのが嬉しい瞬間だという。
テレワークにもご興味があると聞きましたが既に十分お忙しいのでは?

私自身が忙しいのが好きなんです。だからお金稼ぎが目的ではないけど、空いた時間を見つけて、小さくとも何か働いて人のためになったらいいなと思っています。もちろんお休みの日にカフェに行って店員さんとお話ししたり、温泉に浸かってリラックスしたり、美容に時間を使ったりもしていますよ。その隙間時間に、人のお話を聞くいわゆる傾聴サービスの副業も行っています。ライブチャットのようにたくさんの人と自分がやりとりするのではなくて、一対一で丁寧に会話をするという感じです。人って普段の関わりの中で、どうしても吐き出せない想いみたいなのがあったり、ふとした会話を楽しみたかったりというのがあるので、そのお相手になるというお仕事ですね。なので隙間時間のつもりがついつい長時間、お話をすることもありますね。

もちろんお仕事なので、よりお客さんの満足につながるような努力も必要です。普段のお仕事や太鼓の時と同様、お話をしている人を楽しませることはもちろん必須。話題を提供したり、女性として見た目に気を遣ったりもしています。お話をしているときは私自身もすごく楽しいんですけど、やっぱり気疲れはしますね。そんなときは人を喜ばせるという意味で普段の仕事に繋がるところも多いので、副業で頑張って働いた分も、ホテルのお客様にも喜んでもらえるんだと思って頑張っています。

なぜテレワークに興味を持たれたのですか?

将来的な話になりますが、海外で暮らしてみたいと思っています。今やっているホテルのフロントの仕事や太鼓も大好きですが、そういった将来を見据えた時に、インターネットさえあればどこでも生活していけるようになっておくのは必要なことだと感じました。そうはいっても全然違う仕事ややったことがないことを新しく始めるには時間やエネルギーもたくさん必要になってしまうので、普段培っているマナーや気遣いが最大限に活きて、しかも本業のスキルアップにも繋がるというのも傾聴サービスで働く魅力ですね。もちろん、収入が高いのも魅力です(笑) その分、競争相手も多いですし、利用者の方に高い満足度を提供できなければならないとも思っているので、自分磨きは必須です。初めて数ヶ月ですが、リピーターの方もいらっしゃるので、力になれているというのが実感が湧いて嬉しいですね。

▼富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること

仕事や太鼓のエピソードを楽しげに話してくれる橋下さん
橋本さんからみて富士吉田市はどんな街ですか?

私はプライベートで空いた時間に市内のカフェとかに行くんですけど、出会う人みんなが良い人です。行くたびに知り合いが増えるというか。温かいし、みんな仲間意識が強いから、知り合った人にまた新たな人を紹介されてって感じで、そこから人脈が一気に繋がっていきますよね。中にはすごい人もいらっしゃって、この人とこの人が知り合うだけでビジネスが成立してしまうんじゃないかって感じることもあります。

そんな過ごしやすい街なので、東京からワーケーションや移住者の方が増えたのだと思います。東京では地元の人とのふれあいがあまり発生しないと思うんですけど、ここで知り合った東京からの移住者の方たちは「ここにきて仲間が増えた」と喜んでいました。仕事の繋がりしかないと、そのことを愚痴りたいとか、誰かに聞いてもらいたいと思ったとき、どうしても孤独になってしまいますよね。そういう意味で人には仲間が必要なんだと思います。私自身も群馬県出身の移住者で最初は不安でしたが、今では仲間もどんどん増えて、温かい街だなと思っています。ぜひ移住を検討されている方にも富士吉田に遊びにきてその温かさを実感してほしいと思います。

富士吉田がまるごとサテライトオフィスになったら何が起こると思いますか?

楽しみな反面、正直怖いという気持ちもあります。人が少ないからこその田舎の距離感みたいなものが温かさに繋がっているんだと思います。人気になりすぎてあんまり人が来すぎたら、都会と変わらなくなっちゃうんじゃないかなっていうのが怖いと感じる理由ですね。この地域で開催される大型イベントとかでも一定数のマナーの悪い人が短期間にバーっと来て、街を汚して帰るみたいな。そういう人たちが増えてしまうと、せっかくの富士吉田市の良さも目減りしてしまうかもしれません。もちろん中には落ち着いて雰囲気を楽しめるというか、地域と調和して過ごせる方もいらっしゃると思うのでそういった方は大歓迎ですよ。

橋本あゆみさんからのメッセージ

富士吉田市は富士山の絶景が楽しめて、人も温かい街だと思います。温泉もたくさんあるし、オシャレなカフェでゆっくりした時間を楽しめる、そんなところも私のお気に入りのポイントです。東京と比べたら何もないかもしれないけど、やっぱりのんびり観光したいなって人はぜひ遊びに来てくれたら嬉しいです!


◯「富士吉田まるごとサテライトオフィス」構想とは

「富士吉田市内をまるごと使ってテレワークできる環境を整えよう」という構想です。

日本は新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの企業やオフィスワーカーに「在宅勤務」が推奨されて来ました。しかし、自宅で働くことに息苦しさ・やりづらさを抱えている人たちの存在は今や社会的な問題です。

そこで当社は山梨県の富士吉田をモデルタウンに「日常型ワーケーション」を提案しています。日常型ワーケーションとは、日中は通常勤務のようにしっかり仕事をして、仕事の前後の時間(朝・夕方〜夜)に地域の魅力に触れられるスタイルです。

このスタイルは、作業環境の変化による生産性の向上のほか、地域の魅力に触れる機会の創出や、常に変化を感じる生活のなかで発想力・企画力などのクリエイティビティが培われるというメリットがあります。

富士吉田は新宿から1時間強と好立地ながら、富士山が目の前に広がる絶景地。当社は富士吉田でワーケーションができる仕組みづくりに取り組んでいます。まるごとサテライトオフィスの富士吉田をぜひ体験してください!

◯富士吉田まるごとサテライトオフィスで取材に応じてくださる方を募集しております。

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

ひとつでも当てはまったら是非ドットワークBARにいらしてください!


記事執筆/宮下 高明