人と人を繋ぐのが人生のミッション!大月市の魅力を全力配信する『ローカルディスタンス』の大森悠平さん

山梨県東部に位置し、新宿から約1時間と都心からのアクセスが良い山梨県大月市。緑豊かな山々と険しい岩肌が美しい峡谷、その間を縫う清流桂川など、自然豊かでのどかなこの街で、今、町おこしが盛んに行われています。その中心になっているのが「地方と都市の距離をなくす」という想いで活動しているローカルディスタンスです。東京都からの移住者が火付け役になった若者中心のコミュニティで今は90名近いメンバーが所属しています。今回は、そのローカルディスタンスの中でも、組織と外を繋ぐ役割を担っている『大森悠平さん』にインタビュー。大森さんのこれまでのご経歴や普段の活動、そしてこれからの取り組みなどをお聞きしました!

 

 

大森悠平さんと富士吉田が結ばれるまで

今回のインタビューに答えてくださったローカルディスタンスの大森悠平さん

 

本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくおねがいします。

さっそくですが大森さんが富士吉田市に来られた経緯を教えてください

僕は山中湖村の出身で、富士吉田市内に高校まで通っていました。大学は東京で、卒業後は地元の大手観光会社に就職が決まっていたんです。その頃心配だったのが、右目の違和感が徐々に大きくなってきていたことでした。当時はその検査のために定期的に通院していたんです。そして、就職間近の3月に網膜剥離という病気が判明し、完全に右目が見えなくなってしまいました。結局そこから視力が回復することはなく、入社の時期も遅れてしまったため、研修なしでいきなり現場入りという流れでした。でも、右目が見えないので、お客さん含め周りの動きがわからなくて…すぐに退職を決意しましたね。

まさかそのタイミングで右目が見えなくなるとは…

手術に8時間かかり、予後の経過観察で2週間ほど、食事もトイレも寝る時も、ずっと下向きで生活していました。今でこそ痛みは全くありませんが、当時は常に右目に激痛が走っていましたね。それでも会社を辞めようと決意したのは、会社に迷惑をかけたくないという想いだけでなく、以前自分が経験した体験を追求したいと思ったからです。

僕は、大学生の頃に山中湖のガソリンスタンドでアルバイトとして働いていた経験があります。たまたま外国人のお客さんに道を聞かれて、こちらとしては普通に答えたのですが、わざわざ「丁寧にどうもありがとう」って握手されたんですね。そしたらなんか僕の中で電気が走って『なんでこんな衝撃受けるんだ』っていう驚きがありました。相手は別にハリウッドスターとかではなくもちろん一般の旅行者です。

ただその時に、それまで考えてこなかった外国人の方がどんな価値観を持って生活しているのか、生きているのかっていうのを知りたいと強く感じました。右目が見えなくなって仕事を辞めることにはなりましたが、大学生の時の出来事で感じたことを確かめる良いチャンスだと思ったので、仕事を辞めた4日後には誰にも言わずに飛行機に乗ってカナダのトロントに向かいました。

すごい行動力ですね。なぜ誰にも言わずにカナダのトロントに向かわれたんですか。

ニュージーランドや同じカナダのバンクーバーも選択肢にはありました。ただ、知り合いに甘えられない環境が欲しかったのと、移民が多く色々な価値観に触れられるだろうという考えから、旅行先はカナダのトロントにしたんです。ちなみに渡航時には全く英語が話せず、入国審査のための用紙も全然書けない状態でした。飛行機で隣になった人に聞きまくって、なんとか入国はできたものの、ホームステイ先に向かうのも本当に一苦労です。翌日、同じホームステイ先で友達になった子に学校へ連れてってもらい、授業初日は無事終了。そして、その後、帰り道がわからないことに気づきました。

携帯も使えない、ホームステイ先の住所もわからない状態だったので、4時間くらい街を彷徨いましたね。そして、この近くにお願いしていた留学センターがあるっていうことに気がついて。期待を胸にそこへ行ってみたら休日で休みでした。「なんで学校がある日にセンターが休みなんだ」という理不尽を感じましたが、それも異文化なんだと割り切って。もうしょうがないからなんとなく見た記憶がある125番艇のバスに乗ってみたら、昨日見た景色と似ていることに気がつきました。

そこから、なんとなく見た覚えがある景色を辿っていき、なんとかホームステイ先に戻ることができました。学校が終わった時間から半日くらい経って帰ったので、ホームステイ先の人にも随分心配したと怒られましたね。今でも昨日のことのように、その時の景色や通りの名前まで全部思い出せます。不安や怖い思いをした分、この経験は、訪問場所だけではなく誰かと会う時にも事前に入念な調査や準備していくという今のルーティンに活きています。

大森悠平さんが所属している、大月市を中心に活動しているローカルディスタンス

一方で知らない環境に飛び込んでいく勇気も培えたと思います。語学学校で2週間ほど学んだ頃、英語のライティングに比べスピーキングが不安だったので、クラスのレベルを下げて欲しいと先生にお願いしました。しかし、先生は「とりあえずバーに行ってたくさん喋ってきなさい」と取り合ってくれず。『酔っ払えばテキトーに喋って、そのうち英語を覚えるから』っていうのが理由です。結局、それならやってみようと決意していろいろなバーに飛び込んで飲み明かす日々でした。先生の助言とは裏腹に、すぐには英語を話せるようになりませんでしたが『言葉が通じない中でどうすれば仲良くなれるか?』を必死に考えながら、いろいろな方と交流できましたね。

そんな感じでトロントにいた4ヶ月くらいの間にたくさんの友達もできて、その後はVIA鉄道というカナダの国営企業が運営する鉄道に乗って、バンクーバーやバーグ、カルガリを訪れる一人旅を楽しみました。その土地の人たちと喋ったり、ドミトリーで一緒になった友達とお酒を飲みに行ったりと現地を満喫しましたね。そんな一人旅を2ヶ月間、語学学校に通った時間と合わせて半年くらいの海外経験をして帰国。今は山中湖観光振興公社というところで、山中湖の観光に携わっています。僕も今の所に勤めて6年目、観光客の方がどういうことを考えているのか、何を求めて山中湖を訪れるのかということを常に考えながら仕事をしています。

大森さんが所属しているローカルディスタンスについて

ローカルディスタンスでは地域の人と楽しみながらの地域おこしを大切にしている
大森さんが所属する『ローカルディスタンス』について教えてもらえますか?

『ローカルディスタンス』は、一言で言えば地方創生のコミュニティで『夢を叶える環境を作りたい』と言うスローガンがあります。というのも、地方で何か夢を、例えば「プログラマーになりたい」とか「自分のアイディアで地域を盛り上げたい」とか、そういった方がいてもなかなか一人では頑張れないですよね。点で頑張る、と言うのはすごく大変で、色々な地域が抱える問題でもあると思います。そこを、僕たちローカルディスタンスが一丸になって応援していく、夢を叶える環境を作っていきたいと思っています。

なので、ローカルディスタンスが何かをすると言うよりは、地域を盛り上げるように一緒に活動していくと言うのが、僕たちのスタンスなんです。当初は東京都からの移住組が数名で始めたコミュニティですが、今では地域の若者や大学生などの参加者も増え、全体では約90名が活動しています。全員が大月市にいるわけではなくて、あるメンバーは東京にいたり、大阪にいたり。別に会費とかもなく、理念に共感してくれることが大切なので、メンバーが在住する地域も限定していません。

大森さんはどんな経緯でローカルディスタンスに入ったのですか?

2020年の4月頃の話ですが、SNSを使って一ヶ月間で全く新しい50人と話そうというチャレンジをしていたんです。とにかく気になった人に話しかけまくり、どうすればその人から返信が来るようになるか、どうすれば信頼してもらえるのかというのを探していたんですね。そのタイミングで、ローカルディスタンスの人をたまたま見つけて活動内容を見てみたら、近くにこんな面白いことをしている人たちがいるんだ、となって。人生のミッションというか、どんなことをしたいのか、どういう風な生き方をしていきたいのかということを考えながら活動してみて『地方創生』と『対人』というのが僕の中のキーワードだと気づきました。そして、損得勘定なしに大月市を、ひいては山梨県を良くしていきたいというローカルディスタンスの理念に共感したんです。メンバーとして参加してみようと思った頃に、ちょうど向こうから参加してみないかと誘ってもらって、その後メンバーとして活動しているという感じです。

僕が人生の変化が起きたきっかけは人との出会いなんです。海外旅行の時もそのきっかけも、そしてローカルディスタンスも。それは僕が新たな人と出会うという意味でもそうですが、例えばある人とある人をマッチングさせて面白いことが起こるという出会いも、僕の中では人生の中で絶対やっていきたいことなんです。なので、僕が知っているどの人とどの人をマッチングさせれば、面白いことが起きるのかというのをいつも考えています。その人がどういうことに悩んでいて、どういう性格で、どんな言葉で伝えればステキなことが起こるのか。そこには海外の全く知らない環境で学んだ言葉を使わずいかに目の前の人と仲良くなるかということも活きています。

そして大切にしているのは僕自身の損得を考えずにマッチングさせることです。そうすることで当人たちの純粋な想いや熱意が形として現れてくるからです。これはローカルディスタンスでも大切にしている姿勢です。そして、僕はローカルディスタンスでも内外を繋ぐということを主にしています。面白いことを考えている人を、それを応援できるローカルディスタンスのメンバーと繋いで、ステキなことを実現させていく。そういう新たな素敵が生まれてくるような環境があるんだよってことを伝えたくて、常に新しい人との出会いや人と人のマッチングを楽しんでいます。

富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること

ドットワーク富士吉田でインタビューに答えてくれる大森さん

 

富士吉田がまるごとサテライトオフィスになったらどんなことが起こると思いますか?

地元の人と地方を拠点の一つにする人とのご縁が新たに生まれてくると思います。それでも、たまたまオフィスで知り合っただけというのは寂しいので、どこどこに拠点があるっていうのではなくて、ここに行けばこの人がいるっていう『人の地図』ができても面白いんじゃないかと思います。オフィスがあるっていうよりも、こんな面白い人がいるんだったらそこに行ってその人に会えるというようなご縁がつながる仕組みもありだと思います。

僕の知り合いの高校の先生で『LGBTQを知る授業』にオカマの人を連れてきて話をしてもらうということをしている人がいます。大人の中には驚かれる人もいると思いますが、当の高校生たちはすでにYouTubeなどでLGBTQにも慣れていて、偏見なく接することができるため、質問などのやりとりも積極的にできるそうです。特にオカマの人の中には化粧が上手な人も多くて、女子生徒にすごく人気なんだとか。封建的とまではいきませんが、なかなか流動性がない地域で、この授業のように新しい価値観や普段会えないような人に出会えるような流れが、この取り組みで生まれたらいいですね。

大森悠平さんからのメッセージ

山梨県を盛り上げていきたい人で「こんな人と知り合いになりたいよ」「こんな悩みがあるんだけど、どうやれば解決できるかな」って方がいれば、僕に連絡いただけたら嬉しいです。ご縁繋ぎもできるかもしれないし、別の形で力になれるかもしれません。よかったらFacebookなどで連絡してくださいね。

 

大月ラボ

https://otsukilab.com/

◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは

「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。

(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html

 

◯富士吉田市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる方を募集しております。

 

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

 

ひとつでも当てはまったら是非ドットワークPlusにいらしてください!

記事執筆/宮下 高明