富士吉田市の若者が”オシャレ”を練習できる場を!Q-STA2階のUS designの羽田祐介さん

流行に流されない独自の感性を養いながら、一点物の商品と一期一会を楽しめる古着店。良質で安価な商品が見つかることがある反面、その特性ゆえに気に入ったデザインでもサイズが合わずに諦めざるを得ないケースもあります。今回は、そんな古着屋の常識を覆す、サイズの合わない古着でもジャストサイズに直してくれる『US design』オーナーの羽田祐介さんにインタビュー。富士吉田市出身で地元の若者のオシャレを応援したい羽田さんは、Q-STA2階の本店のほか、山梨県では初となる古着の無人販売店も今年オープンしました。その彼に、ご自身のご経歴や古着屋をはじめたきっかけ、まるサテが進んだ富士吉田市の未来像などを聞きました!

▼羽田祐介さんのご経歴やご活動について

今回のインタビューに答えてくださったUS designの羽田祐介(はだ ゆうすけ)さん

本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくおねがいします。

 

まずは羽田さんのご経歴を教えていただけますか

僕の出身は富士吉田市で、高校時代までを地元で過ごしました。3年間ずっとホームセンターで接客のアルバイトをしていたのですが、そのバイトの先輩に紹介された古着屋の店長が気さくな人でした。オシャレのことだけでなく、東京での生活なんかを教えてもらい、聞いただけでもすごく世界が広がった感覚があったのを覚えています。そこから卒業後の専門学校へ進学するタイミングで上京、そこの8割の生徒はほとんど勉強せずに遊ぶという学校でした。遊びにはめちゃくちゃ誘われましたが、残りの2割にどうしても入りたくて、独特の空気を放つ「この子たちはデザイナーになるだろう」っていうグループと四六時中一緒にいました。

そのおかげで授業外でのディスカッションや美術館、アートフェスを見に行くなど濃い時間を過ごすことができ、東京デザイナーズウィークにも学生枠で参加。このイベントに参加できたのは、学校でうちのグループだけだったので大きな意義を感じました。専攻はインテリアデザインでしたが、卒業制作で作った照明作品が評価されたことでその分野に興味が湧き、就職活動では照明メーカーを受けることに。最初の面接は練習のつもりで1社目を受けたのですが、そこに決まり営業職として社会人デビューしました。営業成績は悪くありませんでしたが、色々あって2年ほどで退職。僕は趣味が服と言えるくらい服が好きなのですが、逆にタバコやお酒などはしないので、お金もある程度溜まっていました。

 

お仕事を辞めたのをきっかけに何か大きな買い物をされたんですか?

辞めることを考え始めた時から一人で行ったことが無い海外旅行をしようと決めていたので、当時好きだったガウディ建築を見にスペインへ2週間行って来ました。この旅は、僕の中で”挑戦”に近いイメージだったのもあり、外国語なんてからっきしだったので、本当によく帰ってこれたというものでした。日本の空港でたまたま買った『指差し単語帳』がなかったら、本当にどうなっていたかわかりません。そんな旅だったからこそ、帰って来てから大分気持ちが大きくなりましたね。帰国後に知り合いのアパレルショップをお手伝いしたことがきっかけで、アパレルに興味を持ちました。そこで、間髪入れずにお気に入りの代官山にあるアパレルショップに飛び込みで行って、そこで働き口を見つけるということができたのもスペインを旅したおかげだと思います。

そこからはその会社で広報のプレス担当を経験したり、学生時代の友達が数名勤めていたインテリアデザイン事務所に転職してCADオペレーターを経験したりと社会経験の幅を広げました。特にこのインテリアデザイン事務所は俗に言うブラック企業どころか漆黒の職場環境で、最長で4徹したこともあります。眠らなすぎると、いざ寝ようと横になった時に、気持ち悪くて寝れないということをその時初めて知りましたね。そんな生活を続けていたら、体調もおかしくなってしまって「朝起きたら夜だった」ということを地でいったりするように。それと同時期くらいに東北大震災で仙台の支社の取引先が壊滅的なダメージを受け、会社は事実上解散のようになりました。その後、埼玉県で塗装業の仕事なども経験しましたが、30歳の節目に地元の富士吉田市に帰って来たと言う感じです。

▼羽田さんの今の活動について

Q-STA2階の古着屋『US design』

富士吉田市に戻ってきてすぐに古着屋をオープンしたのですか?

富士吉田市に帰ってきた後は、自動車整備や板金の仕事なども経験したり、個人事業主として塗装業やデザイナー業など多面的に活動する中でご縁をいただき、ドットワーク富士吉田でファッションレクチャーを実施することになりました。というのも、地元に帰って来て驚いたのが、休日なのに作業着のような格好をする人がたくさんいる、街全体、特に若者のオシャレに対する意識の低さです。

僕はオシャレやファッションが、人に評価されるものの中で、日常的にできる最も身近な挑戦のひとつだと思っています。僕の中でオシャレな人というのは、莫大な試行錯誤よって培われたセンスや自信が外に現れた人なんですよ。だから最近増えて来ている観光やワーケーションをしに外から来るオシャレな人たちと地元の若者の、摩擦が起きないどころか次元が違うくらいの意識格差に愕然としました。世界的に有名な観光地だからこそ、そこに住む人たちも自信を持って生活する地域になったらいいと思っています。

そんなつもりでファッションレクチャーをやってみたのですが、そこで参加した人から出る質問は「どこで服を買えばいいのか?」「どこで服の相談をすればいいのか?」ということでした。それならば自分で相談を受けてアドバイスでき、オシャレの練習をしてもらえるような『かつて僕が高校生の頃に服を好きになったきっかけになったようなお店』があれば良いということで開店したのがQ-STA2階の『US design』です。

 

『US desgin』はどんなお店ですか?

古着屋は一点物と出会える一期一会感が魅力で、気に入った服を買うまでのプロセスも楽しい場所です。それが魅力で古着屋巡りをする人もたくさんいるくらいなのですが、その中ではデザインがすごく気に入ったのにサイズが合わない、ということも起きます。特に日本では見ないようなオシャレなデザインの海外古着は大きなサイズが多く、この問題が多く起こります。US designでは、一点ものの古着との一期一会をより楽しんでもらいたくて海外古着を専門に扱っていますが、販売と一緒にお直しのサービスも提供しています。気に入った商品をぜひ身につけてオシャレになって欲しいと思って始めたのですが、実際に始めてみると洋服以外にもバッグや靴のお直しの持ち込みもたくさんいただくようになりました。

これまでいろいろな仕事を経験して来ましたが、今のお直しの作業には最終的に立体になる商品を、二次元的なアプローチで修正していく想像力や考え方が必要になってきます。また、バッグや靴にそれぞれに独特の工夫や新しく入手しようがない金具などの修理依頼もあり、その修理方法は千差万別です。その都度、新しい発想が求められるのですが、そこに自動車整備士の時に学んだ機械の機構などが活かされたりするので、僕のキャリアはバラバラに見えて実は繋がっているんだと日々感じています。

山梨県初のセルフ古着『フジクロージング』

 

最近オープンした無人の古着屋について教えていただけますか

2022年2月の『ドットワークBAR』で、あらくら食堂を経営する林理恵子さんが、月江寺商店街入口のテナントアイデアを募っていたのがきっかけです。通りの直線上に富士山が位置する映えスポットに近く、ショーウインドウが店舗に向いた1階部分の活用法として、古着屋ができないかと考えました。とはいえ、Q-STA2階のUS designの運営は有人店なので、新しく人を雇う必要があると考えていた頃、ちょうど僕の奥さんがネットで無人の古着屋の情報や無人運営に必要な券売機などを見つけてくれました。なので、最初から無人店にしようというよりは、ピースが揃ったから挑戦しようといった感じです。一方で、元々東京のアパレルショップで接客しながら、一定数のお客さんが「店員がいることによってお店に入らなくなる」ということを感じていました。

話しかけられるのが嫌なのか、選んでいる様子を見られたくないのか。決してオシャレやファッションに興味がないわけではないんだけど、店員がいることによってそこに行けなくなってしまうという層は一定数います。僕がやりたいのは富士吉田市の若者に古着との一期一会を楽しんでもらいながらオシャレにすることなので、その間口を広げる意味でもこのお店には期待しています。もちろん、ここで買った商品のお直しも承っているので、普通に古着が好きな人にも買い物を楽しんでもらえます。ゆくゆくはこのお店が市外でも有名になって、下吉田駅からフジクロージング、富士吉田市の街を経由して、Q-STA、富士急ハイランドと一本に繋がる動線ができたら嬉しいですね。

 

▼富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること

お直し作業中の羽田祐介さん

富士吉田がまるごとサテライトオフィスになったらどんなことが起こると思いますか?

ファッションの観点から言えば、地元の若者たちにとって刺激を受ける場面が多くなると思います。例えばセルバへ買い物へ行ったら、カフェブースに地方の人のそれとは違う雰囲気を纏ったオシャレなノマドワーカーがいる。東京ではノマドワーカーがいる日常はなんでもないかもしれないけど、地方の日常のシーンで、都会の洗練されたものに触れる機会が増えていくことは大きな意義があると思います。もしかしたら、地元の若者はオシャレに気づかないだけじゃなくて、オシャレをすることで自分だけが浮く怖さを感じているかもしれない。そんなことがなくなって、オシャレでいない自分に危機感を感じるようになったら、それは良い作用だと思います。

羽田祐介さんのからのメッセージ

通販が便利なのはわかりますが、僕のお店ではリアルで気に入った服を見つける過程のなかでワクワク感や楽しさを提供したいです。実際に商品を着てみて、「ああでもない、こうでもない」という思考が洗練されていくことがオシャレだと思っているので、コロナも外出しない言い訳にならなくなってきたこのタイミングで、もう一度オシャレをする楽しさを思い出してもらいたいです。一期一会の出会いをお直しでサポートするので、一緒にファッションを楽しみましょう!

 

US designのECサイト

https://usdesign.base.shop/

 

Us designのお店のHP

https://usdesign.kano-hairmake.com/

 

◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは

「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。

(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html

 

◯「まるサテ」では取材に応じてくださる方を募集しております。

 

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

 

ひとつでも当てはまったら是非ドットワークPlusにいらしてください!

記事執筆/宮下 高明