システムエンジニア出身の動画クリエイター!ADDressの家守も務める『土井 彰子』さん
定額料金で全国の家に滞在できるサブスク型住まいのサービス。仕事と旅行を同時に楽しめるワーケーションとの相性が抜群なこのサービスは、ライフワークバランスを見直す風潮やコロナ禍によるテレワークの推奨に後押しされ、近年注目されています。その中でも”ADDress”というサービスは、家守(やもり)と呼ばれる地域コミュニティ・マネジャーが、地域と会員の架け橋となっており、地域住民とのふれあいも楽しめると人気を博しています。今回は、そんなADDressの家守を富士吉田市で務める土井彰子(どい あきこ)さんにインタビュー。自身も県外から移住されてきた土井さんから見た富士吉田市や現在のお仕事、また、まるサテが進んだ富士吉田市の未来像などについて答えてくれました!
富士吉田市まるごとサテライトオフィス
▼土井彰子さんが富士吉田市に来るまでの経緯とこれまでのお仕事
今回のインタビューに答えてくださったADDress富士吉田B邸の土井彰子(どい あきこ)さん
本日はよろしくお願いします!
こちらこそよろしくおねがいします。
土井さんのこれまでのご経歴を教えてもらえますか
私が生まれたのは佐賀県ですが、育ちは埼玉県です。大学卒業後はSIer企業に就職し、システムエンジニアとして企業や官公庁向けの業務アプリ開発を行なっていました。一般のユーザーが使うようなものではなく、例えば夜のうちに帳票を作成しておくというような、その企業の業務をアシストするアプリの専用設計・開発・運用までを一通りをやっていました。そこで5年ほど働き、長期の出張なども何度か経験しましたが、会社と家の往復という生活サイクルにだんだんと息苦しさを感じるようになりました。幸いシステムエンジニアは手に職系の仕事なので、それなら働き方を変えてみようかと思い立ち、フリーになる決意をしました。
辞める前には次の仕事も決めていたので、退職した翌月には次の仕事を始めるという感じでしたね。フリーとはいっても業務委託を請けたシステムエンジニアとして、契約した時間だけ常駐型のお仕事をするという感じで、ライフスタイルがガラッと変わったといえませんが、仕事の中身は自分で選んだものになったのでよかったです。業務委託なので、前の会社のような残業もなく、空いている時間でウェブデザインなどの勉強も始めることができました。
そこからどのように富士吉田市に繋がっていきますか?
その後、コロナ禍で外出自粛の風潮が強くなり、自宅での作業が多くなりました。私は予定がなければ外に出なくても平気というタイプなので、外出自粛がちょうどいい言い訳になったりして、本当に外に出なくなってしまったんです。あまりにも出なくて、このままでは廃人になってしまうと思い、なんとか自分を奮い立たせないとと考えていました。そんなときに『移動力(長倉 顕太)』という本を読み、移動することで半ば強制的に新たな出会いや価値観が創造されるという内容に共感。そこで紹介されていた全国の家に滞在できる定額制の住まいのサブスク「ADDress」を使い始めました。
ADDressでの体験は、これまでの自分のライフスタイルでは気づかなかった『共同生活や地方での暮らしが好きな自分』に気づかせてくれました。日常生活の中で流動的に出会いがあるADDressでの生活に魅力を感じ、家守の仕事にも興味を持ちました。そして地方へ移住して家守をやりたいと思い、移住先を探し始めました。半年ほど和歌山県の高野山にある宿坊で住み込みの仕事を経験したり、熊野古道にあるゲストハウス兼ADDressの拠点のお手伝いをさせてもらったりしました。そして今年の春にADDress新拠点の家守募集があり応募したところ、条件とタイミングが合い、移住してきたというのがこの街にご縁をいただいた経緯です。
高野山・大門
住んでみて富士吉田市はどんな印象ですか?
私はもともと都会育ちですが、ADDressで地方暮らしを楽しめることがわかったので高野山や熊野古道での暮らしも楽しかったです。特に熊野古道では最寄りのコンビニまで車で25分と言う世界でした。恥ずかしながら富士吉田市が静岡県にあると思っていたくらいこの街のことを全然知らず、この街にはじめて来た時には「都会に戻ってきてしまった!」というのが最初の印象でした。ただ実際に富士吉田市に住んでみると、買い物は都会と同じように不便なくできる一方、風景は緑豊かで水もおいしく、とても住みやすいところで気に入っています。今は移住して数か月ですが、これから街のことをもっと知っていって、ADDressの富士吉田B邸に訪れる会員の人にその良さをもっと伝えられるようになっていきたいと思います。
▼土井さんのお仕事について
ADDress 定額住み放題多拠点プラットフォームのHP
今もシステムエンジニアの仕事をしていますか?
今年の春には知り合いにお声がけいただいて3か月間の新人研修に、システムエンジニアの講師として携わりました。以前のようにシステムエンジニアの仕事を専門的にやっているわけではありませんが、例えば自動化できそうだけど、手動でやっていて困っていますみたいな相談を受けるとお手伝いしたくなりますね。今メインでやっているのは動画編集の仕事です。これはシステムエンジニアとしてフリーになって、業務委託を請けていた頃に始めたことなのですが、今では広報支援を行う企業のクリエイティブ業務担当としてジョインし、お手伝いさせてもらっています。そのほかにも、少し前にはなりますが、私も通っていた動画編集講座の受講生を対象にしたオンラインコミュニティの運営にも関わっていました。こんな感じでデスクワークをしながら、ADDressの富士吉田B邸の家守としても活動しているという感じですね。
とても幅広く活動されていますね。
活動の幅は広いですが、今やっている動画編集の仕事やADDressの家守は、バランスが取れているように思います。というのも、仕事はテレワークが可能なうえ、もともと、私自身が引き籠ろうと思えばいくらでも引き籠れる性質です。そのままだと本当に外と関わらずに生活してしまえるのですが、ADDressでの共同生活が、朝しっかり起きて挨拶や会話をしてというように、いい意味で規則正しい生活や社会性を担保してくれているように感じています。そこで一緒に生活する会員さんも『1つの家に連続で予約できる期間は1週間(連続滞在は延長含めて2週間まで)』というしばりがあるので、良くも悪くも、くっつき過ぎず離れ過ぎずという人間関係になります。特に利用者の方はワーケーションを楽しむような自立した方たちなので、距離感の調整も上手で私にとっては心地よい人間関係を構築しやすいです。
もちろんその方たちは、様々なバックボーンを持ちお仕事をされているので、個別にお話を聞くだけでも刺激になります。これまでADDressで出会った方の中には、私がしていたシステムエンジニアをしている方やデザイン、ライターなどのクリエイター職の方、中には総務などのバックオフィスでワーケーションを楽しんでいる方もいて、それぞれの仕事のやりがいや大変さの一端を聞くことができます。これからも家守として旅人と地域の人を繋げたり、交流の場所を作ったりということができたらいいと思っています。
▼富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること
ADDress富士吉田B邸でくつろぐ土井さん
富士吉田市がまるごとサテライトオフィスになったらどんなことが起こると思いますか?
私がこれまでADDressを利用し、いろいろな場所でワーケーションをして感じたのは『気兼ねなく長居ができて、安定した高速なWi-Fiがあるかどうか』が非常に重要だということです。自分のパフォーマンスはもちろんですが、お客さんとのやりとりや仕事に支障をきたすようであればお客さんからすると「ちゃんとしたオフィスで働いてください」となってしまうので。逆にいえば、その要素さえあれば、今はどこでも働ける仕事がたくさんあります。
その環境が、世界的な観光地である富士吉田市で、しかも市内のあちこちで可能になるとしたら、それこそ世界中の旅人にとってすごくありがたいことだと思います。その取り組みの中で、地方の飲食店なども協賛しているのであれば、そこでは旅人がお店の人と話す機会や地元の人と仲良くなる機会も生まれてくるでしょう。その土地の風景の美しさもですが、地元の人との関わり合いも旅の大切な思い出になります。この街がそんな付加価値が産まれる地域になったら、日常生活のように普通に働きながらプラスアルファが楽しめる、旅と仕事が融合した場所としても、より一層人気になっていくかもしれませんね。
土井彰子さんからのメッセージ
ADDressの富士吉田B邸の建屋には、昔飲食店をしていた名残で、今でも使える調理スペースがそのまま残っています。駅から徒歩数分という立地も魅力だと思うので、もしも移住や多拠点居住に興味があって、そこで事業をやってみたいと考えているひとがいたら、繋がりたいと思っています。そのほか、私のスキルで地域の取り組みに協力できることがあれば、ぜひお声がけいただけるとうれしいです。
ADDress 定額住み放題多拠点プラットフォーム
◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは
「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。
(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html)
◯富士吉田市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる方を募集しております。
「地域活性や街づくりに興味がある!」
「今こんな活動をして街を盛り上げている」
「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」
「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。
ひとつでも当てはまったら是非ドットワークPlusにいらしてください!
記事執筆/宮下 高明