子供たちが“本当に勉強している時間“をマネジメント!武田塾富士吉田校のオーナー『江見崇』さん

有名大学◯名合格!大きな張り紙と夜遅くまで窓から漏れる光が印象的な富士吉田市の学習塾。慣れてくると、所狭しと並ぶ親御さんの車で、その時の大体の時間がわかるようになります。もしかしたら富士吉田の街中で、学習塾はコンビニや居酒屋の次に、遅くまで明かりが灯る建物かもしれません。今回は、そんな学習塾の利用が盛んな同市で、“授業をしない”を大きく掲げる武田塾のオーナー塾長『江見崇(えみたかし)さん』をインタビュー!一見、見返すような謳い文句が意味するところや江見さんのご経歴、富士吉田市の印象などを聞きました。

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武田塾富士吉田校:https://www.takeda.tv/fujiyoshida/

 

江見崇さんが富士吉田市と繋がるまで

今回のインタビューに答えてくれた武田塾富士吉田校の江見崇さん
本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくおねがいします。


江見さんのこれまでのご経歴を教えてもらえますか

僕の出身は大阪で、大学生までずっと大阪に住んでいました。中学では友達に誘われて卓球部でしたが、高校では進学クラスのようなところにいたので部活は断念。大学で運動系ではなく文化系のサークルESS(English Speaking Society)に所属していました。専攻は法学で、授業で受けた中国の法律の話が面白く、それについての書籍を読んだことで中国の法律に興味を持ちました。外から見ると一見無秩序に見える中国も、しっかりと法理論に基づいて社会が動いているというギャップを感じたからです。その興味が高じて大学院まで進学しましたが、しっかりとした根拠に基づいた修士論文を書きたいという想いがあったので、多くの資料が国外持ち出し禁止に指定されていた中国へ1年半の留学も経験しています。

 

滞在先は大都会での北京で、良くも悪くもガツガツしてエネルギーがある人や街の様子は、日本の高度経済成長期を見ているようでした。今でこそ少し落ち着いていますが、僕が留学したのは20年ほど前の話で、本当に一ヶ月でビルが建ったりということが頻繁にあった時期。国が成長する大きなエネルギーを肌で感じることもできました。

 

そして実際に中国の法律を勉強してみて、文化が違うから一見ルールがないように見えるだけで、ちゃんと彼らなりのルールがあるということを理解できました。その一方で、日本人がそれにすごく騙されているというのも目の当たりにしました。今はそのリスク込みで彼らが活動していたのを理解できますが、当時は結構熱くなっていて、その不正や理不尽を許せませんでした。

 

今でも色々ありそうですが、当時の中国で外国人が仕事をするのは大変そうですね

なので、卒業後は弁護士になろうとロースクールに通ったりもしました。とはいえ司法試験の壁は厚く、論文試験で落ち続けたこともありどうしようかという選択肢の中で働くことを選び、広告・看板などを作る会社の営業職に就職しました。そこがいわゆるブラック企業で、上司に罵声を浴びせられて傘で殴られながら仕事をするという場所で。何社か経験した後にそこなら「こういう会社なんだ」という解釈もできたと思うんですが、当時は初めての会社だったので、できない自分に「なんてダメなんだ」となっていました。

 

上司の罵詈雑言に相当やられていたというのもありましたが、司法試験もうまくいかず、かなり自分の自己肯定感が下がった状態だったんです。そんな折に上司から「営業成績で結果を出せないお前には、大学院を出て偉そうにしている教師ぐらいしかできねぇよ」と差別的な皮肉を言われたんです。それが当時はなかなかにやられていたので、皮肉として受け取れず「あ、こんな僕でも教師ならやれるんだ」という気持ちになりました。それがきっかけで、教師になろうと思ったものの、教員免許は持っていなかったので、教員免許取得を目指して学生時代にアルバイトでも経験した予備校や塾の先生をすることにしたんです。

教育実習生の頃の江見さん

 

予備校や塾の先生をされてみていかがでしたか?

おかしな話なんですが生徒に「先生」と呼ばれることにとても衝撃を受けました。前の会社では人権もないような感じだったので、それが普通の人間、しかも敬意を込めた呼び方で気後れしたというのを覚えています。予備校や塾の講師として5,6年働きましたが、生徒が合格した時は自分のことのように嬉しかったです。もちろん本人や親御さんの努力ではあるんですが、人の人生に関われる仕事はすごく楽しくて、この仕事に就いて良かったと思いました。そんな中、「自分はどんなに頑張っても親が中卒だからバカは遺伝するので勉強しても意味ない」という生徒からの相談をうけ、そんなことないのにという想いと、それをなんとなくでも感じてしまう教育をなんとかしたいと思うようになりました。

 

実は本当に勉強ができないは少なくなくて、でもそれは完全な誤解で、やればできるというか、受験はそれを実感させてあげられるもののひとつだと教えてあげたいと思うようになりました。これはスポーツでも趣味でも同じことで、たまたま勉強という観点からだと受験がそれに当たるという感じです。だから自分なりにそこに関われるように、もっと深い部分で生徒さんに寄り添えるポジションになりたいということで、石川県の高校の英語教師に転職しました。そこで気づいたのが集団授業の難しさです。同じ教室にいる生徒さんでも、防衛大学に受かる子もいればアルファベットが書けない子もいるという幅の広さに愕然とさせられました。これは公立も私立も同じで、中には本当に勉強がいらないと心から信じている子もいます。そしていろいろ考えた結果、勉強がいらないと思っている子より勉強で成績を上げたいけど成績が上がらず苦しんでいる子を目一杯伸ばすという方法では、塾が一番良いという結論になりました。

 

”授業をしない”武田塾について教えてください

バレンタインデーで生徒からチョコレートをもらう江見さん
塾が一番良いという結論と、“授業をしない武田塾”はどう結びつきますか?

高校で教師をしていた時、ある生徒さんが武田塾のチラシを持ってきたんです。そこからYoutubeの動画見たり、実際に自分で試したりして、武田塾のメソッドなら理にかなっているし、結果が出るだろうと思いました。早速生徒の何人かに試したところ、防衛大や広島大などしっかりと結果が出たので、それであれば『やる気はあるんだけど、本当にやり方がわからなくて頑張っているのに結果が出ない』という子供たちの力になりたいと思ったのが、武田塾をはじめた理由です。

 

では、武田塾の“授業をしない”というのがどういうことかというと、授業をたくさん受ければ成績が上がりますか?ということなんです。つまり、武田塾では塾の存在意義である“成績を上げる”という目標のために、先生が話す授業ではなく、自分の頭で考えて覚える自主学習の時間を増やす必要があると考えています。もちろん生徒さんがわからないところは丁寧に教えますし、その日の到達度や学習深度を測るためにテストはしますが、一般の塾でやるような一期一会の長文を無理やり読ませるようなことはしません。

 

我々は、勉強のスケジュールを管理して、そのマネジメントやフォローをしてあげるという感じです。これは言い換えると“ちゃんと自分で学習するクセをつけさせてあげる”ということです。開校してまだ1年ですが、この方法で東北大学や防衛大学、関学に受かる生徒も出てきており、オーナーである私も効果を実感しています。ただ、短期間で頑張るのは、生徒さん本人が本当に大変なので、できるだけ早く勉強習慣をつけに当塾に通ってもらえたらと思います。

富士吉田がまるごとサテライトオフィスになったらこんなことが起こる!と期待していること

武田塾で業務を行う江見さん

いろいろな交流が生まれるので良いと思います。実際に武田塾を開こうという時には、たまたま近くに来られたデザイナーの方と仲良くなって、武田塾のチラシを作ってもらったりもしました。私は塾の運営のほか、別事業でwebディレクターとしてHPを制作するといった仕事や、受験情報を生徒さんでも読みやすくまとめた月10万PVの『ヒモクリ』というサイトも持っているのですが、まるサテによってたくさんの人が来るようになれば、私にとってのデザイナーさんのように、地域に足りない人材を補いながら、新しい事業が生まれやすくなると思います。あとは、欲を言えばですが、大人と学生が交流できる雰囲気になったらいいと思います。

 

まるサテの一大拠点となっているドットワークPlusで作業をしていると高校生が自習しているのを見かけるのですが、その時に「この問題わからない・・・」という会話を聞くと、一瞬教えたくなってしまいます。でも、そこで横から出てきたら明らかに不審なのでそういったことを今はできませんが、そういう学生や大人がカジュアルに交流できるという空気になっていってくれたら、勉強はもちろん、学生が考える進路とは別の道を歩んだ大人の話が聞けて、色々な未来が見えてくる学生さんが増えるのではないかと思っています。

 

この記事を読んでくれた人へのメッセージ

読んでいただいてありがとうございます。やっぱり人生一度きりなのでいろいろやりたいなと思ったら、本当にやっといた方がいいというのが僕の意見です。僕は武田塾のオーナーもやってますが、それを始めた理由は「後悔したくなかったから」というのが一番大きな理由かもしれません。もし、この記事を読んでくれた方で、目の前の本当にやりたいことがあれば、勇気出して一歩進んでみてもいいかなと思います。

 

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◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは

「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。

(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html

 

◯富士吉田市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる方を募集しております。

 

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

 

ひとつでも当てはまったら是非ドットワークPlusにいらしてください!

  

 

記事執筆/宮下 高明