すごい“旅人”と地域を「仕事」で結ぶ!TENJIKU富士吉田を提供する 株式会社SAGOJO(サゴジョー)
日本全国の多くの地方都市や地域は、様々な課題を抱えています。高齢者や単身者、空き家の増加や人口流出、産業や伝統文化の衰退など、地方在住なら想像に難くない問題ではないでしょうか。その中でも、特定の課題に対して有効なスキルをもった“人材の不足”は、移住定住に力を入れている地方自治体であっても、解決が難しい問題です。そんな地域の課題と、様々なスキルを持つ“旅人”をマッチングさせることで、地域課題の解決を試みるサービスがあることをご存じでしょうか。今回は、様々な課題を抱える地域にこそ必要なサービス“TENJIKU(テンジク)”を、ドットワークPlusと協力して富士吉田市でもスタートした株式会社SAGOJOのスガタカシさんにインタビュー。同社の想いや事業内容、富士吉田市での地域課題に対するアプローチなどについて聞きました。
株式会社SAGOJOについて
インタビューに応じてくださった株式会社SAGOJOのスガタカシさん
本日はよろしくお願いします!
こちらこそよろしくおねがいします。
株式会社SAGOJOについて教えてもらえますか
株式会社SAGOJOは、「旅 × シゴト」をコンセプトに、移住/関係人口の創出を目指す地方自治体や企業と、地域活性化に貢献したい “旅人” をマッチングさせる人材プラットフォーム『SAGOJO(サゴジョー)』を運営する企業です。僕たちは『SAGOJO』に登録するユーザーのことを“旅人”と呼んでいます。創業は2015年の12月で、最初は代表や僕を含めて3人で設立しました。僕は1年半くらいかけて海外を一周しながらクラウドファンディングをするという経験をしていて、代表も学生時代にはバックパッカーでインドや東南アジアを巡っています。そんな僕らが旅について話をしたときに、“旅人”というものが「未知との遭遇の中で何かを学んでいく状態の人」なんじゃないかという話になり「もっと世の中に“旅人”が増えていけば、より創造的な世の中にしていけるよね」という考えに至りました。そのためには「“旅人”を経済的にも応援していけるようなサービスを提供し、旅をしながら仕事ができる社会を実現する」必要があり、その想いが株式会社SAGOJOの原型となっています。日本が海外に比べて、社会に出た後の長期的な旅が、キャリア形成においてブランクとなってしまうことが多い中で、株式会社SAGOJOでは、人がもっと自由に旅ができるような社会を、つくっていくことを目標にしています。
たまに長期的な旅のためにクラウドファンディングに挑戦する方がいらっしゃいますね
ずっとではなくても、コンスタントに旅がしたいと思ったら、やっぱり経済的な難しさはつきものですね。僕もクラウドファンディングに挑戦しましたが、あれって一世一代の元気玉みたいなところがあったりします。“コンスタントに旅がしたい”場合には、旅と経済的自立の両立が望ましいです。そこには本人のスキルもですが、仕事とマッチングできるサービスの整備が必要だと考えています。ここで重要なのが、“旅人”がマッチングする仕事はどんなものであるべきなのか。僕らは外部からの視点やその場所で確保しにくいスキルを持った“旅人”だからこそ力を発揮しやすい“地域課題の解決”にフォーカスし、“旅人”のスキルと地域の課題をマッチングさせるという事業を行っています。
SAGOJOが提供する事業を教えてください
地域に対して提供できるソリューションはたくさんあります。いくつか例を挙げると、商品企画にはじまり、SNSマーケティングや記事コンテンツの造成、地域のファンづくりやその地域への送客、モニターの派遣など、幅広くお手伝いをしています。また、“旅人”側がスキルアップできるスクールなどの運営も行い、地域に提供されるスキルのクオリティの担保や意欲的なユーザーがより仕事に採用されやすくなるといった仕組みも用意しています。このような事業の中で、“旅人”と地域の結びつきにより、関係人口が増えることはもちろん、“旅人”の中には、その地域のファンとして成長し、移住につながるというケースもあります。
地域課題の中には農作業のお手伝いなどもあり、普段できない体験に“旅人”からも笑顔が
その中でも今回、キャップクラウドさんと連携しているのは“TENJIKU”というサービスで、これは地域に“旅人”が無料で滞在できて、地域の何かしらの課題解決のお手伝いである“ミッション”をこなしながら、その地域ならではの体験をしようというものです。これは短期間滞在して消費するだけのいわゆる観光ではなくて、地域の方と触れ合いながら、“旅人”の力をその地域に還元しようというものです。僕らは、旅と仕事のかけあわせによる“関わり代”が、旅を消費的なものではなく、地域活性化や関係人口の創出、ユーザーのスキルアップや体験といった、いわば創造的なものに昇華できると考えています。なので、“旅人”への仕事の斡旋+地域課題の解決に留まらず、その地域のファンや仲間を増やすといった人間関係の構築までもが事業内容だといえるかもしれません。
株式会社SAGOJO様とまるサテの理念と重なるところ
TENJIKU富士吉田の利用者をサポートするコワーキングスペース『ドットワークPlus』
ドットワークPlusが一大拠点になって進めている“まるサテ”は、僕らのサービスと非常に相性がいいと考えています。それはフリーランスやテレワーカーといったユーザーの層が近く、そういった外部の人たちを地域全体で受け入れて様々な課題を解決しようという下地ができているからです。また、僕らが得意なのは“その地域に人を集める”ということや“外部からの視点で地域課題にアプローチすること”だったりします。一方でキャップクラウドさんは、その地域にしっかりと根ざして、市の行政や住民を巻き込んで地域を盛り上げるということに力を入れています。この両社の得意領域を活かしあえるという観点で“TENJIKU富士吉田”はスタートしました。
どの地域でも、地域の課題解決を完全なリモートで行うことは難しいです。僕らは“旅人”を集めたり、“旅人”たちへのディレクションを行っていますが、そこから最終的に地域に繋ぎこむ段階では、どうしてもその地域で頑張っているプレーヤーが必要です。その点、キャップクラウドさんが進める“まるサテ”は、まちづくりの側面が強く、地域のことを真剣に考えている企業さんと一緒にやっていけることは非常に心強いです。
富士吉田市の印象を教えてください
よく言われることだと思いますが、交通の便が非常に良いですね。他の地域は東京から5時間以上かかる場所もあるなかで、バスなら東京から片道2時間で、1,500円くらいでアクセスできるというのは、“TENJIKU”のサービスでみれば、非常にアクセスしやすい地域です。多くの地域で地域課題としてあげられる関係人口を創出するという意味では、非常に有利な場所なんじゃないでしょうか。また、富士山の存在はやっぱり大きいと思います。これは観光的な意味ではなくて、いろいろな地域を見ていて、大きな山や川といったランドマークを持つ地域の人々はそこに郷土愛や自分たちのアイデンティティを持っていることが多いと考えるからです。
その地域ならではの食べ物を地元の人と囲めるのもTENJIKUで地域課題に取り組む醍醐味のひとつ
そこから「この地域は捨てたもんじゃないんだ」という矜持みたいなものが育って、それが地域の新たな取り組みの原動力や粘り強さにつながります。もちろん、そういった地域には歴史や伝統というものもあって、火がつくのに時間がかかったり、新しい取り組みが伝統文化とバッティングしないように気を付けながら進めていく必要があることは多いです。シビックプライド(都市に対する市民の誇り)がしっかり育っている地域はやっぱり強いと感じます。
今後貴社サービスとキャップクラウド株式会社とでどんな展開を期待していますか
TENJIKU富士吉田を利用して、“旅人”たちが富士吉田市に滞在するというケースが生まれはじめていますし、これからもっともっとそういった“旅人”を増やしていきたいと思っています。その“旅人”たちのほとんどは、それこそ日中どこでも作業ができるので、“まるサテ”で富士吉田市に拡がるサテライトオフィスを利用して、市内のあらゆる場所で市民以外の人が仕事をする光景が増えていったらと思います。
富士吉田市から見えるあの富士山のサイズ感は迫力満点ですし、「ふと顔を上げると富士山」という体験は、富士吉田に暮らしていないとできないので、“旅人”からするとめちゃめちゃ面白いと思うんです。そういう、「地域の日常だけど、“旅人”には非日常」という体験は、その場所に行くきっかけになります。今後は、例えば、その地域で“旅人”の生活を支えるだけのお金をまるっと出すことは難しいので、人材確保と並行して地域外との仕事のマッチングも行えるような仕組みづくりなどを、キャップクラウドさんと協業しながら、探っていけたらと思います。
スガタカシさんからのメッセージ
富士吉田市は“まるサテ”によって、すでに市外からの人流も生まれています。地域でなかなか確保しにくい人材の確保や地域の移住にもつながるという成果もでているようですが、そのポジティブな“うねり”みたいなものを、ぼくらのサービスでも後押しして、一緒に地域を盛り上げていけたらと思っています。そして多くの“旅人”が富士吉田市を体験してくれることを願っています。
株式会社SAGOJO
◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは
「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。
(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html)
◯富士吉田市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる方を募集しております。
「地域活性や街づくりに興味がある!」
「今こんな活動をして街を盛り上げている」
「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」
「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。
ひとつでも当てはまったら是非ドットワークPlusにいらしてください!
記事執筆/宮下 高明