『河野保険事務所』への転職を機に原点回帰。
ローカルの醍醐味をとことん楽しむ武藤源輝さん
前回お話しを伺った河野保険事務所社長・河野大介さんのもとで働く武藤源輝さん。8年前、河野さんからのアプローチで、現職へと転身されました。転職を決断した背景には、早くに他界されたお父様の存在があったといいます。武藤さんが度々口にされたのは「役に立ちたい」という言葉。その原点や、仕事とプライベートの垣根を超えた人との繋がりについてお話しいただきました。武藤さんが幼い頃からライフワークとして継続されている『ボーイスカウト』の気になる活動内容と魅力についても伺っています。
父の教えが導いた『河野保険事務所』との出会い
本日はよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします。
現在の仕事に就かれた経緯を教えてください
私が生まれ育った家は、代々ガソリンスタンドを家業としていて、当然のように4代目の跡取り息子として育てられました。曽祖父が富士吉田初の洗車場を導入し、その頃は珍しかったので長蛇の列ができていたそうです。そんな老舗ガゾリンスタンドを継ぐために、まずは県外の系列店に就職し、経験を積んでから地元に戻ってきました。ようやく実家のガソリンスタンド経営に合流したのですが、突然父が亡くなってしまったんです。当時父は52歳、私は22歳でした。経営という部分ではまだまだ経験も浅く、継続は難しいと判断し、泣く泣く畳むことになりました。その後は地元の企業に就職をして、12年間は営業職を続けてきましたね。
その後、現在の河野保険事務所に転職されたのですね
父親が『ボーイスカウト』の指導者をしていたこともあり、私も小学生の頃から入っていて、社長の河野はそこの7つ上の先輩でした。そんな繋がりがあったので、今の事務所に誘ってもらったのですが、当時は営業職の方も頑張っていたので、すぐに首を縦には振らなかったんですよ。子どものころから尊敬していた河野と働きたいと強く思う反面、保険という仕事に不安もあり、中々決断できずにいました。それでも根気強く声をかけてくれ「一度、父の話を聞いてくれないか」と言われ、事務所の創業者であり社長のお父様でもある河野会長のもとを訪ねました。そこで会長から「いろんなご家庭や企業がある中、車に乗っていれば自動車保険、家を建てれば火災保険、会社を経営していれば生命保険や従業員さんの保険などが必ず必要になる。この仕事は人の役に立つ、すごく良い仕事だよ」という話がありました。ものすごく衝撃を受けましたね。実は父も、私が幼い頃に同じようなことを言っていたので。「車はガソリンがないと走らないし、お風呂は灯油がないと沸かない。うちは世の中に必要なものを販売していて、役に立つ仕事をしているんだよ」と。そのことを思い出し、保険の仕事を通じて子どもの頃から刻まれた“世の中の役に立つ”というスピリットに立ち返ることができるかもしれないと感じました。
それと、ガソリンスタンドがあった頃は、地元の友人や親戚がガソリンを入れに来てくれたり、父のボーイスカウトの教え子がアルバイトとして来ていたりと、私生活と仕事がリンクしていました。幼い頃からそれが当たり前の生活だったのですが、サラリーマンになった途端、仕事とプライベートは切り離されたものになりました。その生活がどうもしっくりこなかった…。会長の言葉を聴いて「チャレンジしたい」と感じたのは、世の中のためになる仕事というだけでなく、そういった“仕事とプライベートに垣根を作らない在り方”に戻れると直感的に思ったことも大きかったです。今は仕事を通じて人との繋がり、広がりを感じられていて、もう最高に楽しいです。職業柄、お客様のご家族への想いや、いろいろな考え方を聴くことができるので、そういう部分でも面白さがあります。保険の仕事はどちらかというと特殊で、すぐに納品はしません。いざという時のための保険なので、皆さんが困っている時に駆けつけて、いち早く保険をお届けするんですね。「ありがとう」と言っていただけるので、日々やりがいを感じています。この仕事をするように声を掛けてくれた河野に、心から感謝しています。
父も生命保険に加入していたので、もちろん保険は下りたのですが、事業をしていたこともあり本来必要な額と実際に入ってきた額に大きなギャップがありました。だからこそ、お客様にはしっかりとヒアリングさせていただきます。立場によって守りたいものや大事なものが違うので、適切な保険に入ってもらうためにも、一人ひとりに寄り添って真剣に考える。「入っていてよかった」と心から思ってもらえる保険を一緒に考えるというのが僕のミッションだと思っています。
武藤さんの人生の道標『ボーイスカウト』とは
幼少の頃から継続されているボーイスカウトについて教えてください
“スカウト” は先駆者という意味があり、自ら率先して人生を切り拓く力を育むなど、健やかな子どもを育成するための世界的な運動です。仲間と大自然の中で体を動かしながら、心や体で様々なことを学習します。所属している『ボーイスカウト富士吉田第一団』は、60年弱の歴史があり、私の父もその第一期生として入団しました。入団当時は中学生だった父が、大人になり指導者の立場に。昔から父の教え子がうちに集まってきたり、一緒にキャンプに連れて行ってもらったり、とても身近なものでした。なので、私も入団できる年齢に達したら自然な流れで入りました。今は変わりましたが、その頃は小学4年生から入団できたと記憶しています。大人になった今も指導者として関わり続けていて、今の役割はベンチャー隊という高校生部門の引率隊長です。他には、山梨県全体で行うキャンプやハイキング大会の主催もさせてもらっていますね。全国規模の『日本スカウトジャンボリー』というキャンプ大会もあるんですよ。中高生が集まって1週間ほどキャンプをするので、高校生たちを連れていく企画を立てることもします。石川県で行われた際は河野も応援にきてくれました。
引率隊長はどのような役目があるのでしょうか
高校生部門になると、自分たちで企画、実行、振り返りまでを行うようになります。そして、反省したことをまた次回に活かしていくというサイクルがあるんですね。引率隊長は、それをサポートしていくという役割です。昨年は「京都に行こう」となり、高校生だけでプランを考え、高速バスや宿を予約し、現地では観光スポットを巡るなどして過ごしました。私は万が一に備えて車で現地入りし、遠くで見守りながら状況報告のやり取りをするくらいです。目的と予算などを考えながら主体的に企画・実行するのは社会に出てからも役立ちますし、保護者の方からも好評で「経験させてもらえて良かった」という声が多かったです。
大人になっても関わり続けているのは、自分が先輩たちにしてもらってきたことを、次の世代に託すことで恩返ししたいという気持ちもありますし、ライフワークとして当たり前のものになっているからです。それに、みんな二度と来ない今を生きている。だから、一回一回を一生の思い出にしてあげたいなという想いでやっています。
ボーイスカウトでの経験は仕事にも活きていますか?
ボーイスカウトでは様々なことを学びましたが、中でも掟というものがあって、それは今でも道標になっている気がします。「スカウトは誠実である」「スカウトは友情に厚い」など、8条の掟があるんです。人間として当たり前のことのようだけど、私の場合は間違った方向に進みそうになったり、人生に迷ったりした時に、この掟を思い出すことで軌道修正ができました。キャンプでロープの結び方や地図の読み方など、細かい技術も学べたのも良かったのですが、“生きていく上での基準を持つことができた”ということの方が、人生に影響を与えてくれています。
地元・富士吉田を楽しみ尽くす休日の過ごし方
休日はどのように過ごすことが多いですか?
ボーイスカウトの活動以外ですと、友人家族とキャンプをしたり庭でバーベキューをするなど、野外で過ごすことが多いですね。富士吉田はアクセスが良い上に自然も豊かなので、県外の友人も度々遊びに来てくれています。ここ数年は、ゴールデンウィークにキャンプ場を貸し切ってフェスのようなものを開催しているんです。音楽あり、食事ありで、大人も子どももワイワイ楽しんでいます。だんだんと規模が大きくなってきてしまい、去年は100人ほど集まりました。そんな感じで、仲間と賑やかに過ごす時間が好きですね。あとは、母の営むダンススクールで社交ダンスをすることもあります。昔から身近な存在だったこともあり「社交ダンスってかっこいい」と20年ほど前に習い始めました。今は、生徒さんのパートナーとして踊るなど、母のお手伝いという形でやっています。
今年からは『富士吉田商工会議所青年部』に加入させてもらっているので、地元の商工業の発展や改善に、自分なりに貢献できればいいなと思っています。他にも、神社の祭事で役員をしたり、自治会の副会長をしたり、消防団も10年間続けていました。地域で役に立てることがあれば無理のない範囲で引き受けるようにしています。これまで知らなかった人と繋がることで広がりが生まれますし、そこから色々と学ぶことも多いですね。ボランティアだとしても、お金以上に大きなものを得られる気がしています。地元にしっかりと根を張って生きていくことは、自分自身の喜びにも繋がっているようです。
武藤さんが思う富士吉田のアピールポイントとは?
昔ながらの歴史や文化を特別大事にする町ですが、ここ10年20年で現代的な店もかなり増えました。新旧がうまく混ざり合ってきていて、すごく良い町だなと個人的には思います。現代的なだけでもないし、古臭い感じもない。昔の価値観を大事にしながら、そこに現代のエッセンスがだんだんと溶け込んできているようでいいなって。それは、この町ならではの魅力じゃないでしょうか。富士山や湖もすぐ側にあるし、住んでいて楽しいですね。
まるサテプロジェクトに期待されることがあれば教えてください
移住して来られる方がここ数年で急増しているように思うのですが、中でもリモートワークの方が増えましたよね。こんな様子からもまるサテプロジェクトの果たしている役割は大きいなと感じています。さらに期待したいことと言うと、ここで育った若者たちが戻って来られる環境づくりですかね。一度県外へ出た若者たちが“仕事がないから戻って来られない”という地域としての問題を、リモートワークという働き方がさらに浸透することで解決に向かえば良いなと思います。地元を離れた若い人たちがこの町に戻って働くことができ、ゆくゆくはそれが町の活性化にも繋がっていくと信じたいですね。
武藤源輝さんからのメッセージ
繰り返しにはなりますが、富士吉田は今と昔が混在したすごく面白い町です。なので、ぜひ一度足を運んでみてください。都内からですと、高速バス一本で来ることができますよ。富士山の写真を撮られる方は、可能であれば2、3泊されることをおすすめします。曇りの日は綺麗な富士山を見ることができないので、やはり晴れの日に素晴らしい景色を楽しんでほしいです。
(有)河野保険事務所
https://kono-hoken.co.jp/
◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは
「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。
(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html)
◯富士吉田市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる方を募集しております。
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「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。
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写真・記事執筆/高井まつり(KINONE)