事業者仲間求む!ライフスタイルにわくわく感を提供する「株式会社クリエイティブリゾート」
日本人はもちろん、富士の麓のリゾートを求めて海外からも多くの観光客が降り立つ河口湖駅。そこから徒歩数分の場所に株式会社クリエイティブリゾートが運営する和モダンで落ち着いた雰囲気の「冨士天ぷら いだ天」があります。同社は、2013年の世界遺産の翌年から富士五湖エリアで事業展開し、現在では「いだ天」や「ほうとう研究所」など、地元はもちろん県内外にも知られる店舗を運営しています。今回はその仕掛け人であり、経営者である代表取締役CEOの加藤慎一さんにインタビュー。手掛けている事業の構想や富士吉田市がより盛り上がるワーケーションの未来像などをお聞きしました。
▼加藤さんと富士吉田市が繋がれるまで
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加藤さんのご経歴を教えていただけますか?
私は神奈川県の秦野市出身ですが、父親の転勤で各地を転々としました。大学は山口県でしたが就職先は東京都。その会社でも吉祥寺や横浜、千葉に転勤するなど色々な場所を巡っています。就職して5年ぐらい経ってから一度目の転職、その後某とんかつの会社や居酒屋、社員食堂、病院給食、指定管理者と呼ばれる公の宿泊施設や研修所などの運営業務をやってきました。その過程で事業部長などのマネジメント職や店舗開発なども経験しましたね。最後の会社は2年弱の勤務でしたが、そこでも出張が多く、ほとんど毎週のペースで関東と福岡を行ったり来たりしていました。
色々なところへ行かれたんですね。富士五湖エリアで事業をはじめられたのはなぜですか?
起業するならやっぱり日本一である富士山の麓でやりたいなと思ったからです。2013年、富士山が世界文化遺産に登録されてから半年後の翌年に起業しました。私は仕事を作るのが得意で、その地にゆかりがあるかないかはあまり気にしません。これは賛否両論あると思いますが、私としてはむしろまったくゆかりがないところのほうが起業は楽なような気がしています。というのも、すでに自分のコミュニティーがある状態から始めると、その関係性や周囲からの評価を気にしすぎることによって、物事を進めにくくなって側面があるからです。
確かにしがらみのようなものはあるかもしれませんね
事業を興すならどの業態にしろ、どの取組にしろ、一から形成していく過程で必ず勝負する場面が出てきます。そこで思い切りやれるかどうかというのは、案外ローカルのことを知りすぎていないほうがうまくいくところもあると私は思っています。例えば、ローカルに詳しければそこで流行っているものを知っていると思いますが、それに引きずられすぎたり、人間関係のしがらみに囚われやすくなる可能性もあります。まったく同じ業種や業態ではなくとも、やはりその枠組みありきでの事業というのは、結局自分の持っていきたい方向とズレていくような気がするんですよね。同じ理由で補助金や助成金も自身の事業と重なるなら活用するのは大事なことですが、そこはフラットに考えていく必要があると思っています。
▼株式会社クリエイティブリゾートの事業について
2014年の事業開始から、これまでにどんな事業を展開されてきましたか?
今は友人に渡してしまったんですが、はじめは「FUJI CAFÉ CUPS」というカフェを河口湖畔に、その翌月に「いだ天」を立ち上げました。そもそもは「いだ天」を立ち上げるために会社を興したんですが、その融資を受けるのが難航してしまって。なかなか下りない融資に悩むころにはすでに独立してしまっていたので、少しでも自分たちの生活費を得ようというのがカフェをはじめたきっかけです。無事融資が下り、いだ天を立ち上げた後は様々な事業を展開してきました。クローズしたものも含めれば、高齢者の宅配、ほうとう研究所、たいやきの移動販売、オープンカーや三輪バイクのレンタル事業など。事業のすべてがトライアンドエラーです。その中には山梨県の経営革新計画に認めていただいたものもありました。
様々なことにチャレンジされているんですね
私たちの理念は、完全にゼロから事業を生み出すのではなくて、その土地特有の文化や歴史、風土といった、そこでしか体験できないものを取り入れた事業を展開していくというものなんです。そのため、私自身は県外者ではありますが、郷土料理であるほうとうにも「ほうとう研究所」としてチャレンジしています。その他にも例えばオープンカーのレンタル事業は、レイクサイドをオープンカーで颯爽と走って、富士山麓のエネルギーを肌で感じる体験型アミューズメントという位置づけでした。もちろん、二次交通として私たちのお店をその動線にいれてもらおうという狙いもありましたが、いずれにしろこの地域の資源を大きな枠組みで活用していこうというのが事業の方針です。さらに最近では人材こそ貴重な資源であるということから人材紹介の会社も立ち上げています。
なぜ人材紹介の会社を始められたのですか?
私は地域創生や町おこしにおけるキーワードは「人の雇用」であると思っています。例えば魅力的な場所だと感じてそこに移住したくても、働くところがなければ移住はできません。たしかに昨今隆盛のワーケーションのような働き方が可能な人は別ですが、労働集約型の働き方が合っている人にとって、移住というのは雇用先ありきの話なんです。富士五湖エリアも例外ではなく、地元の高校を卒業した後、県外の大学を出てそのまま就職してしまい街の空洞化が進むということが現実に起きています。これは地元に十分な雇用が確保されていない証拠です。事業を進める上で働き手の確保は必要不可欠ですが、町おこしの観点からも、事業の構想の中に「雇用先の確保」をしてあげる、ということは事業者ができる地域活性なのだと思っています。
雇用の確保以外に事業で気をつけられていることはありますか?
基本的に同じエリアで同じ業態はやらないことにしています。理由は商圏がかぶることにより、共食いになってしまうから。極端な話になりますが、この富士五湖エリアで10店舗やるのであれば、私の経営としては10業態あってもいいのかなと思っています。業態が異なることで、材料に使用する輸入品の高騰やコンテンツの流行り廃りの影響を平準化してリスクヘッジが可能というメリットがあるからです。また、商圏が観光地なので、同じエリア内で同じ名前の店舗がないというのは「せっかくの旅行だからチェーン店の利用は避けたい」という顧客心理にも刺さると考えています。業態が同じであれば、例えば大手飲食メーカーのようにサービスから店舗の作りまですべて同じにすることで人材・物資の補填がしやすくなるメリットはありますが、弊社は社員教育を徹底することで、どの店舗もカバーできるようにしています。
▼富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること
ドットワークBARに参加されたとき、どんなことを感じましたか?
私はこの地域に移住してから、様々な会に参加してきたつもりでしたが、そういった場所でこれまでお会いしたいと思っていた方とご縁をいただけたのは非常によかったです。おそらくドットワークBARにいらっしゃる方は、すでに自分のコミュニティーを持っている上で、こちらの地域にも融合するというスタイルなのかなと思いました。
それと個人の感想ですが、もっと事業者の方が増えれば良いというのは感じましたね。例えばデザイナーさんにしてもプログラマーさんにしても発注者がいるから仕事が成り立つわけです。そのままだと、どうしてもクライアントとワーカーという関係が固定されてしまいます。そこを抜け出して、リスクをとって投資をし、事業活動を展開する事業主になることで、一緒にできることの幅が大きく広がると思います。仕事を創る側の人間が増えることで、雇用が生まれて地域の活性化にも強く貢献できるのではないでしょうか。
もし富士吉田がまるごとサテライトオフィスになったら、何が起こると思いますか?
フリーランスでも、お金を出資してリスクを取れば事業家ですよね。ワーケーションや移住者の方が増えれば、そういった方も今より多く出てきますし、新しいつながりの中でそういった風潮が生まれるかもしれない。何らかの合資や人が集まった形が法人格であることを考えれば、富士吉田の街まるごとひとつが事業体になるような未来もあるかもしれません。これは大げさな話ではなくて、例えばシリコンバレーといえば、もう地名が世界最先端のハイテク企業が集まる場所として知られていいます。それはその地域が一つの目標に向かって進んできた結果ですが、観光に限らず何かの分野で「◯◯といえば富士吉田」という仕事の請け方ができれば、地域として大きな仕事に向かっていけるなどの面白いことが起こると思います。もちろん多く集まった分だけハンドリングは難しくなりますが、だからこそ、それができたときには素晴らしい景色が広がっているんじゃないでしょうか。
▼加藤さんからのメッセージ
富士吉田や富士五湖地域で知り合った方に限らず、山梨から世界に発信できるものはいっぱいあると思います。忠霊塔にしかり、ワインやぶどうにしかり。でもそれ以外にもアピールできることはたくさんあって。もちろん人材もですが、日本人のマナーや常識自体も世界的に見たら非常に魅力的なんですよね。
そういったものを、もっと世界に強く発信していけたら面白いかなと。だからこそ、この地に限らず世界を見据えてこれから事業を進めなければならないと思っています。同じ気持ちで一緒に頑張りたい!という仲間を募集しているので、興味のある方は是非ともお声がけくださいね。
◯「富士吉田まるごとサテライトオフィス」構想とは
「富士吉田市内をまるごと使ってテレワークできる環境を整えよう」という構想です。
日本は新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの企業やオフィスワーカーに「在宅勤務」が推奨されて来ました。しかし、自宅で働くことに息苦しさ・やりづらさを抱えている人たちの存在は今や社会的な問題です。
そこで当社は山梨県の富士吉田をモデルタウンに「日常型ワーケーション」を提案しています。日常型ワーケーションとは、日中は通常勤務のようにしっかり仕事をして、仕事の前後の時間(朝・夕方〜夜)に地域の魅力に触れられるスタイルです。
このスタイルは、作業環境の変化による生産性の向上のほか、地域の魅力に触れる機会の創出や、常に変化を感じる生活のなかで発想力・企画力などのクリエイティビティが培われるというメリットがあります。
富士吉田は新宿から1時間強と好立地ながら、富士山が目の前に広がる絶景地。当社は富士吉田でワーケーションができる仕組みづくりに取り組んでいます。まるごとサテライトオフィスの富士吉田をぜひ体験してください!
◯富士吉田まるごとサテライトオフィスで取材に応じてくださる方を集しております。
地域活性や街づくりに興味がある!」
「今こんな活動をして街を盛り上げている」
「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」
「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。
ひとつでも当てはまったら是非ドットワークBARにいらしてください!
記事執筆/宮下 高明