暮らす魅力が密の街!都内から移住したリモートワークの達人が語る富士吉田

インタビューに答えてくださった「株式会社ソニックガーデン」の西見 公宏(にしみ まさひろ)さん

北口本宮冨士浅間神社より南の富士山側、そこには市街の喧騒とは縁遠い緑の美しい景観が広がっています。2021年4月、その中に佇む閑静な住宅街に新たなお宅が加わりました。落ち着いたエバーグリーンとオシャレなデザインが、よく自然と調和した素敵なスウェーデンハウス。お住まいなのは東京から移住してきたプログラマーの西見公宏さんのご一家です。今回は9年間のリモートワーク歴を持つ西見さんに富士吉田への移住についてお話を聞きました。

西見さんは、奥さんとお子さん3人、お義母さんの6人で暮らしています。お仕事はWEBシステムやアプリなどを開発する株式会社ソニックガーデンの執行役員。取締役としての立場を持ちながら、今もご自身でクライアントの相談にプログラマーとして対応し、第一線でも活躍されています。今回のインタビューでは、実際に移住したことで気づいた富士吉田の良さやご家族の変化にも触れながら、富士吉田の未来についても語ってくれています。

▼移住のキッカケと新しいオフィス(ドットワーク富士吉田店)

雑誌monoの「働く家のアイディア手帖」でも紹介された西見さんのご自宅
本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくお願いします

富士吉田に移住される前の西見さんのことを教えてもらえますか?

僕は東京の下北沢出身で、時期によっては転々とはしたものの、生まれも育ちも、大学卒業から就職も都内でした。子供の頃からゲームが大好きで、好きすぎていつかゲームクリエイターになるんだな、と思っていたんです。その頃にゲームを作るには、プログラミング言語を勉強したほうがいいとアドバイスをいただいて。中学校でプログラミングを、高校ではデザインにのめり込みました。その頃にはアルバイトとして、PS2のゲーム開発に携わったこともあります。

もうその頃からプログラマーとしてのキャリアがスタートしたんですね

とはいえ、そのままプログラミング一本というわけではなくて。大学では、例えば工場の製造ラインを合理化する生産工学を勉強していました。ただ、プログラミングが武器であることも変わりはなかったので、就活ではシステムインテグレーターを何社か受けた末、株式会社TISに就職しました。そこで4年間、会計システムのITコンサルを経験した後、同社から独立したベンチャー企業、株式会社ソニックガーデンにジョインした形です。

よく本を読むという西見さんの書斎にはプログラミングやデザインなど様々な本がズラリ
転職のタイミングでプログラミングのキャリアを再開されたんですね

株式会社ソニックガーデンに転職した最大のきっかけは東日本大震災です。当時、新橋の会社に出勤していましたが、あの非常時でも会社への出勤が命じられていました。でも、エンジニアにしてもコンサルタントにしても、出勤せずにできることが大半なんです。その非合理的なやり方が通用しない時代が来ると感じていた時、株式会社ソニックガーデンではリモートワークがすでに導入されていて。事業継続性を考えたら、その合理的な方法を素直に実行できる環境を自分も作っていかないと、と思ったんですね。そして思い切って転職し、リモートーワークというライフスタイルがスタートしました。

ずっと東京にお住まいだったのに、なぜ富士吉田に移住されたんですか?

やっぱり旅行とかキャンプに行くと自然の中のほうが自分に合ってるとは思っていました。それでコロナ禍による人の密のリスクに直面した時に、東京ではずいぶん生きにくくなってしまったな、と。やっぱり密の中で、密から離れようとするのは無駄なんです。仕事はリモートワークでどこでも働ける方法が確立できていました。それでちょうどいい距離感で暮らせる場所を探していた候補の中で、奥さんの実家もあった富士吉田にしました。

やっぱり東京都は違いますか

東京は何か目的がないと場所を確保できないという世界観ですが、富士吉田では自由な目的で使えるパインズパークのような場所がありますよね。それで土地勘もある程度働いて住みやすそうな富士吉田にしたんです。東京は目的ありきで色々なものがありますが、パインズパークのようにただただ広くて好きなことしていいですよ、みたいな場所があるのも移住した僕には結構衝撃的でした。

▼移住してわかった富士吉田の暮らし、人との関係性の変化

窓から見える美しい緑を壁紙にリモートワーク中の西見さん
西見さんご自身の人付き合いはどう変わられましたか?

書斎はリビングの隣ですが、鍵付きの防音扉がついているので作業環境としては最高ですし、仕事のほとんどをリモートワークできるので、逆に言えばこの部屋で色々と完結してしまう感じなんです。なので、セカンドオフィスとして利用しているドットワーク富士吉田での人との出会いは嬉しいです。気分転換にもなりますし、やっぱり頑張っている人からは刺激を受けます。コワーキングスペースは仕事をする場所ですが、ドットワークBARというイベントでは色々な背景の人と知り合うことができます。今ではそこでできた友達に誘われてテントサウナを楽しんだり、飲みに行ったりと、プライベートも充実しています。

移住されてみて富士吉田はどんな街ですか?

東京の下北沢にいたときは、駐車場も少なくて車が不便な上、荷物が多くても頑張って歩かないといけなかった。東京は色んなものがありますが、ありすぎて不便ということもあります。その点、富士吉田での暮らしはむしろ便利です。スーパーやホームセンターも充実していて、日々の買い物には困らないし、御殿場のアウトレットモールも日帰りの圏内です。そのうえで、充分自然を味わえるというのが、すごく面白い場所だなと思います。そして、周辺に観光スポットが多くて全然飽きないのも良いところだと思います。

自宅の庭に設置した滑り台つきプールでは近所の子どもたちも一緒におおはしゃぎ
ご家族に変化はありましたか?

一番大きな変化はやはり子どもたちだと思います。近くにあるパインズパークは、子どもたちにとって遊び放題の裏庭みたいなものです。都内にといたときと違って、子供は外でしか遊ばなくなりました。集団登校しているご近所のお子さんとも仲良しで、コロナ禍とはいえ伸び伸びと成長していると思います。奥さんはもともと地元なので、旧友とのつながりも強くなったり、居心地も良さそうです。お義母さんもみんなでにぎやかに暮らせて喜んでいます。

▼富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること

地域の内外からその魅力を見つめ直すことで生まれた、老若男女が楽しめる「吉祥寺カルタ」
キャップクラウド株式会社が進める富士吉田をまるごとワーケーション化しようという構想「富士吉田まるごとサテライトオフィス」が実現したら、富士吉田の町がどんな風に変わると思いますか?

ワーケーション化が進めば、知識労働者であるリモートワーカーがもっともっと増えることになります。一方で富士吉田はハタオリの街として栄えてきた歴史があって、それを支えてきた労働者たちが楽しむ場所として飲み屋街が多くあった。そのひとつが西裏という飲み屋街で、今は富士吉田の名所のひとつになっています。そこで文化的な、たとえば本にまつわるスペースが市内に増えればより街としての厚みが増すと思うんです。リモートワークする人たちは、どうしても知識労働者が多いので、そういった人たちが時間を過ごす場所が新たに生まれてくればいいな、と。そしてそれを、ドットワーク富士吉田の本棚から始めました。

それはどんな取り組みなんですか?

ドットワーク富士吉田の休憩スペースにある本棚に利用者の人たちそれぞれが推薦する本を数冊ずつ置いて、施設利用中はレンタルフリーにするという試みです。厳選した本には、その人の名前と顔写真、そして紹介コメントを載せてもらうことにしています。その人の厳選する本は、その人が何を大切にしているのかという写し鏡になっているので、少し話しただけでは知り得ないその人の本質みたいなところが反映される。同じ仕事をしていても、その人の背景によって全然違う本が紹介されて、とてもおもしろい空間になると思います。参加者が増えるごとに進化するというのもポイントですね。

なんだかその人の人となりが垣間見えそうですね

そうなんです。コワーキングスペースは仕事をする場所なので、そういう空気で接しすぎると、すぐに業務やお金の話が主流になってしまう。それが決して悪いことではないんですが、やっぱり人として面白いか、魅力的かが問われる世の中になっていくと思います。地域の内外が交わることで生まれた面白いアイディアのひとつに「吉祥寺カルタ」というのがあります。吉祥寺の魅力を内外から見つめ直したことで、住んでいる人々さえもひざを打つ、老若男女を問わない面白さを持ったカルタです。これはほんの一例ですが、富士吉田でも人と人の出会いの先で、この地域だからこそ生まれる面白いアイディアが出てくるんじゃないかと期待しています。

西見 公宏さんからのメッセージ

富士吉田に移住して感じるのは、便利に暮らせるお店やインフラが整っている上に、観光地や都会へのアクセスも良好で、魅力が密に詰まっている地域だということです。ものすごくバランスが取れた暮らしやすい街なので、もっと多くの人が交流して、もっともっと面白いアイディアや取り組みも密になっていったら良いと思います。

株式会社ソニックガーデン

(ウェブサイト:https://www.sonicgarden.jp/)


◯「富士吉田まるごとサテライトオフィス」構想とは

「富士吉田市内をまるごと使ってテレワークできる環境を整えよう」という構想です。

日本は新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの企業やオフィスワーカーに「在宅勤務」が推奨されて来ました。しかし、自宅で働くことに息苦しさ・やりづらさを抱えている人たちの存在は今や社会的な問題です。

そこで当社は山梨県の富士吉田をモデルタウンに「日常型ワーケーション」を提案しています。日常型ワーケーションとは、日中は通常勤務のようにしっかり仕事をして、仕事の前後の時間(朝・夕方〜夜)に地域の魅力に触れられるスタイルです。

このスタイルは、作業環境の変化による生産性の向上のほか、地域の魅力に触れる機会の創出や、常に変化を感じる生活のなかで発想力・企画力などのクリエイティビティが培われるというメリットがあります。

富士吉田は新宿から1時間強と好立地ながら、富士山が目の前に広がる絶景地。当社は富士吉田でワーケーションがで

きる仕組みづくりに取り組んでいます。まるごとサテライトオフィスの富士吉田をぜひ体験してください!

◯富士吉田まるごとサテライトオフィスで取材に応じてくださる方を募集しております

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

ひとつでも当てはまったら是非.work BARにいらしてください!


記事執筆/宮下 高明