『まるサテ』の仕掛人!キャップクラウド株式会社の代表取締役CEO『萱沼 徹』さん

世界的な観光地である富士山と都内からの好アクセスが魅力の山梨県富士吉田市。この街で今、さまざまな事業者が市内に自分のサテライトオフィスを手軽に持つことができる『富士吉田まるごとサテライトオフィス(通称:まるサテ)』が進んでいます。人々の働き方の新たな選択肢と市外からの人流、そして彼らと地元民との交流が生まれるこの取り組みは、行政や地元の企業を巻き込んで、地域の新たなムーブメントになろうとしています。今回は、そんな『まるサテ』や取り組みの核となる施設を運営するキャップクラウド株式会社の代表取締役CEO『萱沼徹さん』にインタビュー。まるサテの一大拠点である『ドットワークPlus』やそれを可能にしたサービス『anyplace』、さらに『まるサテ』が進んだ富士吉田市の未来像などを聞きました!

 

まるサテ
https://marusate.jp/

anyplaceパスポート
https://anyplace.jp/anyplace-passport/

ドットワークPlus
https://0555plus.work/

ドットワーク富士吉田
https://anyplace.work/

キャップクラウド株式会社
https://capcloud.co.jp/

 

▼萱沼社長と富士吉田とのご縁や現在の事業に至るまで

今回のインタビューに答えてくださったキャップクラウド株式会社の代表取締役CEO萱沼 徹(かやぬま とおる)さん

 

本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくおねがいします。

 

萱沼さんと富士吉田市とのご縁について教えてください

私の父と母は富士吉田市の出身で、私自身も中学校・高校の6年間を富士吉田市で過ごしました。中学校までは市内で、高校からは市外の都留高校に通うことになったのですが、富士吉田市からの定期代が高かったため、堀内光雄さんが理事長を務められている公益財団法人”堀内浩庵会”の奨学生に応募し、富士急ターミナルビル(現在Q-STA)へ面接に来たことを覚えています。おかげさまで高校を卒業し、大学は慶應義塾大学の商学部へ進みました。小中学校でピアノ、トランペット、ギターなどに触れてきたこともあって、大学では管楽器、弦楽器、木管楽器のほか、ギターやキーボード、サックスなど幅広く音楽を楽しみました。

そんな大学時代の最終学年、就職活動の年は奇しくもバブルの最終年で、その年は超売り手市場、翌年は真逆の超買い手市場という節目の年でした。私も当時、何の苦労もなく就職できるはずでしたが、親類には商売人やフリーランス、社長が多く、私自身も漠然といつか自分でビジネスをやるのだろうと思っていたのもあって、独立につながる道を選ぶことにしました。就職活動ではなく、大学と専門学校のダブルスクールをこなしながら、公認会計士の二次試験を目指すことにし、3月に大学を卒業して9月には監査法人・会計事務所に就職しました。そこから3年弱くらい仕事をしながら勉強を続け、合計4年ほど勉強していました。かつての同級生がバブルで高給をもらいながら楽しそうに過ごすのを尻目に勉強していましたが、今思えばそれが現在につながっています。

『ドットワークPlus』のオープン日に富士吉田市、富士急行株式会社と行った三者連携協定の締結式

監査法人・会計事務所を退職後、最初の会社である株式会社ディー・マネージを立ち上げました。ちょうどMS DOSやWindows3.1を過ぎて、爆発的にWindows95が普及してきた頃で、今でこそそんなことは信じられないかもしれませんが、当時はパソコンというものが仕事に使えるのか否かという議論まであった時代です。私は会計事務所で働いていた頃から、最年少で新しいものを任されやすいといった立場や、自身もそういったものが好きだったという理由から、パソコンに関する業務も担当していました。その中で気づいたのが、とにかく会計や経理といった属性の方はパソコンが苦手で、逆にパソコンやプログラミングができる方は会計が苦手ということです。その橋渡しができるのではないかというのが、起業のきっかけでした。そのため、現在でも株式会社ディー・マネージでは、経理方面の仕事とパソコンの仕事の両方を請け負うという形で事業を進めており、その二つの方向性は強みとして今も続いています。

 

キャップクラウド株式会社も経営されていますが、どのような住み分けをされていますか?

先ほどWindows95の例でも挙げた「本当にパソコンが仕事に使えるのか」という議論と同じように、主にセキュリティに関する懸念から「本当にクラウドサービスが仕事に使えるのか」という議論が、その黎明期にも起こりました。それを乗り越えて、我が社でも対応する必要があると思った時に、よりエンドユーザーから直接ニーズを収集して、メーカーとしてお客さまに一番近い立ち位置でサービスを紹介していきたいと思ったので、新たにキャップクラウド株式会社を立ち上げました。

 

キャップクラウド株式会社が提供している『anyplace』や『まるサテ』、『ドットワークPlus』について教えてください

まるサテの一大拠点となっている『ドットワークPlus』

『anyplace』はBeacon端末を設置し、スマートフォンと連携することで「場所」と「時間」の情報を記録するITツールです。好きな場所で、好きな時間に働く”働き方”を提案するサービスで、開発のきっかけは、日本IT特許組合で行われた中小ベンチャーを増やす特許に関する取り組みの一環でした。テーマであったBeacon(近距離情報通信技術)は、簡単に言えば“利用者の場所がわかる”技術で、幅広い活用が期待されています。この技術のさまざまな利用方法を模索し、特許取得を活性化すべく、同組合で企業を集めた事業コンペのようなものがありました。

我が社もそこに参加し、3社合同のチームでBtoBでの活用を主軸に置いた議論を進めていきました。そこで、より厳格な会社や上場企業であるほど、社員が働く場所の担保は重要であるという点に着目し、この技術の利用方法を模索していきました。その結果、企業側は“人事や勤怠状況の確実性を担保”でき、働く側には“働く場所の選択肢を増やす”という双方のメリットを両立できる観点から“労務管理”という方向が決まり、『anyplace』というカタチになっていきました。

 

その『anyplace』は『まるサテ』や『ドットワークPlus』にどのように関係してくるのでしょうか?

『anyplace』が可能にする”働く場所の選択”に関して、それにどれだけ意味があるのかという議論はありますが、私は意味があると思います。これも単一の価値観でそれしかないと言っているつもりはなくて、オンラインで全員違うところからアクセスするのも良いですし、東京の本社オフィスに全員が集まるのも良い。あるいはその中の一部を切り出して、富士吉田でワークするというのもありだと思います。それは働き方の選択肢が増えることによって「個々の生産性の向上」「働き方の多様化への仕組み」「子育てや介護との両立」などのメリットを個人も企業も享受できるからです。その提案を、景観や立地に優れた富士吉田市をモデルタウンとして、行政や地元企業など、そこに住まう人々と一体になって進めていこうというのが『まるサテ』という取り組みです。

とはいえ、ただ富士吉田市内で地域外の人が働いているだけではなくて、さまざまな人、さまざまな職種、さまざまな属性が市内外から集まって化学反応が起き、なおかつそれを実感できる場所というのが非常に重要です。それが『まるサテ』の一大拠点となる『ドットワークPlus』。この施設のロケーションは非常に大切で、特に地域内外の人が集まるという場所という条件が不可欠です。そこで地元のランドマークであり、公共交通機関のポイントになっているQ-STAにドットワークPlusをオープンできたことは、今後同施設が一大拠点として『まるサテ』を進めていく上で、欠かせない要素だと思います。

 

▼富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること

一緒にまるサテを進めるキャップクラウド株式会社のメンバー

人、場所、環境という観点から見た富士吉田市は、他地域と比べ大きなアドバンテージを持っていると思います。自然が多く食べ物が美味しいという地域は多くあれど、やはり富士山という圧倒的な強みや都心からの好アクセスが優位であることは間違いな無いでしょう。そういったものと”仕事”をうまく掛け合わせた結果、どんな化学反応が起こるかは、正直私にもわかりませんが、それが非常に楽しみでもあり、ワクワクもしています。我々としては“仕事”や“働き方”という観点から、プラットフォームの整備をしっかりと行って、富士吉田市に繋がる人々を迎えられるようにするというのがミッションです。業務の導入支援然り、システム開発然り、それだけで何かが成り立つものではなくて、誰かのやりたいことをよりドライブをかけるための支援という意味では、これまで我が社がやってきたことと変わらない業務だと思っています。この取り組みの主人公は、まるサテに繋がる皆さんだと思っているので、ぜひ未来を創っていって欲しいと思います。

萱沼社長からのメッセージ

仕事の仕方に関して「こうしなきゃいけない」「こうしちゃいけない」というのをあまりに考えすぎると選択肢は狭まってしまいます。それが自分の人生においての不幸になりかねないので、幸せな人生にしていくための選択肢をテーブルに並べられるような環境や社会になっていけば良いと思います。まるサテやanyplace、新施設であるドットワークPlusといった事業は、働き方の選択肢を増やすお手伝いだと捉えてもらって、仕事やひいては人生の選択肢を拡広げていってもらえたら嬉しいです。

 

まるサテ
https://marusate.jp/

anyplaceパスポート
https://anyplace.jp/anyplace-passport/

ドットワークPlus
https://0555plus.work/

ドットワーク富士吉田
https://anyplace.work/

キャップクラウド株式会社
https://capcloud.co.jp/

◯「富士吉田市まるごとサテライトオフィス」とは

「富士吉田市まるごとサテライトオフィス(略:まるサテ)」は山梨県富士吉田市全体を使って、様々な事業者が富士吉田市内に自分のサテライトオフィス(企業または団体の本拠地点から離れた場所に設置されたオフィス)を手軽に持つことができる取り組みです。

(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000093585.html

 

◯富士吉田市まるごとサテライトオフィスでは取材に応じてくださる方を募集しております。

 

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

 

ひとつでも当てはまったら是非ドットワークPlusにいらしてください!

記事執筆/宮下 高明