地域プロボノにも挑戦!Webエンジニアの技術でつながるご縁と街づくり

今回のインタビューに答えてくださった「Webエンジニア」の朴城俊(パク・ソンジュン)さん

富士山の登山口としても古くから栄えてきた富士吉田市。首都圏からほど近く絶景の富士山が眼前に広がるなど立地に恵まれており、移住者も徐々に増え始めています。そんな新たな地域のメンバーと住民がコラボした “ハタフェス”や”まちぶらヨガ”といったイベントは、もはやこの街になくてはならないものになりました。今回は、コロナ禍のフルリモートで感じた東京での息苦しさから富士吉田に移住し、地域イベントにも参画したWebエンジニアである朴城俊(パク・ソンジュン)さんにインタビュー。実際に住んで感じた富士吉田市の良さや地域の人々とのプロジェクト進行の楽しさ・難しさなどを聞きました。

▼朴さんが富士吉田市に繋がれるまで

朴さんが早朝散歩で訪れた北口本宮冨士浅間神社
本日はよろしくお願いします!

こちらこそよろしくおねがいします

さっそくですが朴さんのご経歴を教えていただけますか?

コロナ禍をきっかけに富士吉田へ来る前は東京に住んでいました。今でこそWebエンジニアですが、理系の大学院を卒業後、最初に就職したIT系の企業ではプログラミングと言えるものに触れる機会はあまりありませんでした。そこが結構大変な職場で…プライベートな出来事とも重なってメンタルを崩してしまいました。だいぶ参りましたが、いかに元気を取り戻すか考えた末、カラダのエネルギーを使ってメンタルを回復させようと思いヨガを始めました。鬱になったら何も考えずに、とにかくカラダを動かせって誰かが言ってて、それに近いと思います。そして気分を変える意味でも旅に出たいという欲求と重なって「ヨガの聖地、インドに行こう!」と思い立ちました。

メンタルが大変なときに、あえて非日常へ積極的に飛び込んだんですね

インドは日本と比べ衛生状況がひどくて…猿や牛が町中にいたり、いたるところに野良犬や浮浪者がいたりと、めちゃくちゃな場所です。ただそれは決して悪いだけじゃなくて、日本のある意味で整った社会では感じられない「地球上を歩いている」という感覚のようなものを感じることができました。カオスな場所だけど、自分がちっぽけに思えるというか、この世界の一部なんだなぁ、と。ヨガに出会って、フィジカルからメンタルにパワーをもらえると確信していた僕にとって、頭の中で考えるだけではなく身体を通して感じられる情報が豊富で強烈なインドの旅は、巡礼に近い感覚だったのかもしれません。そんな出来事を通して「とりあえずできることからやってみよう」という感覚が強化されたと思います。

その後、富士吉田市へ移住されるまでは何をされていたんですか?

最初に働いていた会社での業務の一部で、自社メディアの運営に関する業務をしていたんですが、漠然とそういったものを作れる側になりたいという気持ちが帰国後にも残っていました。就業形態にこだわらず「できることからやってみよう」の精神でSEOを扱う会社でバイトをしながら、短期でWebデザインを学べるスクールに通学。それが5,6年前の話ですが、そこでもまだまだプログラミングの仕事にはならなくて。業務経験を重ねながら少しずつプログラミングの知識をつけていき、派遣を経て正社員としてプログラマーデビューができました。そこから数年かけて、様々な現場を経験しているタイミングでコロナ禍に。

世界的な絶景地として知られる新倉山浅間公園

会社の業務がいきなりフルリモートに切り替わりました。フリーランスに転身したのもその頃です。当時は中央線沿いのマンションに住んでいましたが、外に極力出ない生活の中で息苦しさを強く感じるようになりました。徐々に新しい環境に身を置きたいという欲求が高まっていって、そこで「できることからやってみよう」の精神でワーケーションに挑戦し、千葉県や神奈川県を訪たりもしました。そのタイミングで、たまたま音楽家の世武裕子さんのお話をpodcastで聞き、富士吉田に興味を持ちました。調べていくとワーケーションプログラムのSHIGOTABIを見つけて、実際に一週間ぐらいのワーケーションを体験させてもらってから、富士吉田への移住を決めた感じです。

▼朴さんから見た富士吉田と参画した地域イベント“まちぶらヨガ”

富士吉田市のイベント“ハタフェス”で撮影、伝統工芸の織物の祭典に感銘を受けたそう
実際に半年間、富士吉田に住まわれてどんな印象を持たれましたか?

振り返ってみるとこの富士吉田に住んでみた期間は、世の中がコロナ禍を受けて、人々のライフスタイルもガラッと変わった時期でした。そういうときに東京だったら受けていたであろう、ガヤガヤとしたいろんなノイズを一旦シャットアウトして、空気も水も綺麗な自然の近いところで、自分の感じる心地よさや大切にしたいものなど“自分の内面”を見つめ直すことができる場所だったと思います。僕は次のプロジェクトの関係で、8ヶ月の富士吉田市の生活を終え、また東京に生活拠点を移すことになっています。短い期間ではありましたが、富士吉田の生活が日常になった今でも、空気の綺麗さ、水の美味しさや水が流れる音を初めて訪れた当時と同じく五感で感じることができる場所だと思います。

確かにそういった感覚は東京にはないかもしれませんね

普段使っていないセンサーを有効にできるという感じでしょうか。それってまさにワーケーションの最たる理由のような気がします。僕は一度、心ここにあらずというか、完全に頭と心が乖離したような状態になってしまった経験もあるので、だからこそ自分を取り戻すというか、自分のココロの声を聞いてあげられるような感覚になれる富士吉田を大切にしたいと思います。バスケットボールのテクニックに、軸足を置きつつもう片方の足を動かすというピボットというものがありますが、僕にとってその軸足の場所を思い出させてくれるような街ですね。

下吉田駅前の「あらくら食堂」で作業する朴さん
そんな富士吉田で地元の方と協力して地域イベントにも参画されていたとお聞きましたが、いかがでしたか?

いわゆるプロボノ的(社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動)な活動でした。せっかく富士吉田市に来たので、地域と連携するような何か面白いことがないかとアンテナを常に立てていて。会う人会う人に自分の活動や好きなことを話すということを続けていたら、イベントの運営の方につながりました。僕自身ヨガが好きなので、富士吉田の街を満喫しながらヨガを楽しめるというイベント趣旨もすごくハマりましたね。

仕事ではない分、大変な場面もあったのではありませんか?

プロジェクトを進めていく上で様々な課題が発生するんですが、それに取り組む姿勢を担保するものとして、やる気が大きな要素になります。何事も自分で働きかけないと前に進みづらいという感覚はありました。プロジェクトはみんなで推進するものだと思うので、誰か一人がすごくやる気であっても全体としてうまく進まないという…それぞれのベクトルも微妙に違うので、そこをうまく合せながら進めていくというところも地域イベント特有のものだと思いました。そんな大変なこともありますが、やっぱりお客さんが来てくれて楽しんでいる様子を見たときの達成感は大きかったですよ。

▼富士吉田がもし、まるごとサテライトオフィスになったら…こんなことが起こる!と期待していること

新たなプロジェクトが東京で始まっても、富士吉田へワーケーションに戻って来たいと語る朴さん
もし富士吉田がまるごとサテライトオフィスになったら、何が起こると思いますか?

今回実際に富士吉田市に住んでみて感じたことが、まだまだ僕のようなフリーランスは多くないということ。だからこそ、色々なスキルを持った人たちがもっと増えたら、その分だけコラボレーションが生まれて、地域の人が思いもよらなかったモノやサービスが生まれると思います。そうなれば色々なセンサーが活性化されて、もっと充実感を感じながら生活する人が増えると思いますね。

富士吉田でのイベントに参画して感じたことに、開催地域のお店や人々が感じているそれぞれの課題を一回のイベントで拾いきるのは難しいということがあります。色々な制約の中での開催なので、ある程度は置き去りになってしまうのは仕方ないと思います。それでもワーケーションを楽しむ人がどんどん増えていけば、街の色々な課題にも答えられるようなイベントにも繋がっていくのではないでしょうか。

朴城俊さんからのメッセージ

東京には戻りますが、これからは今までよりもっと移動頻度を増やして、色々な場所でワーケーションを楽しむつもりです。その先々で、これまで自分がやってきた面白いこと、富士吉田で経験したような地域の人々とのつながりづくりやイベントへの参加を続けていきたいと思います。富士吉田にもまたワーケーションで戻ってくると思いますので、その時を楽しみにしています。


◯「富士吉田まるごとサテライトオフィス」構想とは

「富士吉田市内をまるごと使ってテレワークできる環境を整えよう」という構想です。

日本は新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの企業やオフィスワーカーに「在宅勤務」が推奨されて来ました。しかし、自宅で働くことに息苦しさ・やりづらさを抱えている人たちの存在は今や社会的な問題です。

そこで当社は山梨県の富士吉田をモデルタウンに「日常型ワーケーション」を提案しています。日常型ワーケーションとは、日中は通常勤務のようにしっかり仕事をして、仕事の前後の時間(朝・夕方〜夜)に地域の魅力に触れられるスタイルです。

このスタイルは、作業環境の変化による生産性の向上のほか、地域の魅力に触れる機会の創出や、常に変化を感じる生活のなかで発想力・企画力などのクリエイティビティが培われるというメリットがあります。

富士吉田は新宿から1時間強と好立地ながら、富士山が目の前に広がる絶景地。当社は富士吉田でワーケーションができる仕組みづくりに取り組んでいます。まるごとサテライトオフィスの富士吉田をぜひ体験してください!

◯富士吉田まるごとサテライトオフィスで取材に応じてくださる方を集しております。

「地域活性や街づくりに興味がある!」

「今こんな活動をして街を盛り上げている」

「頑張っている人がいるので記事で紹介してほしい」

「面白い構想があるのでこんな方と繋がりたい」などなど。

ひとつでも当てはまったら是非ドットワークBARにいらしてください!


記事執筆/宮下 高明